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第1回能楽講座「面白くて分かりやすい」

本紙掲載日:2022-08-17
7面
能装束の着付けについて説明する橋本さん

観世流シテ方能楽師の橋本さん−能「土蜘蛛」を語る

 10月8日に行われる「第25回のべおか天下一薪能(てんがいちたきぎのう)」を前に、今回の演目について学ぶ能楽講座が今月8日、延岡市東本小路の市民協働まちづくりセンターで始まった。全3回予定されており、初回のこの日は、観世流シテ方能楽師の橋本忠樹さん(48)が「能楽よもやま〜舞台裏はなし」と題して、自身が出演した舞台を振り返りながら、舞台裏について話した。

 主演目の能「土蜘蛛(つちぐも)」のあらすじは―病で伏せっている源頼光(みなもとのらいこう)のもとに見知らぬ法師が現れる。その正体はクモの化け物だった。あっという間もなく千筋(ちすじ)の糸を繰り出し、頼光をがんじがらめにしようとする。頼光は刀で切りつけ追い払う。後半は、頼光に化け物の成敗を命じられた家臣、独武者(ひとりむしゃ)らと土蜘蛛の戦い。土蜘蛛は千筋の糸を投げ掛けて抵抗する。

 橋本さんは「土蜘蛛」について「面白くて分かりやすく、初心者向けの曲」と紹介。自身が出演した時の写真を見せながら説明した。一つの見せ場となる土蜘蛛が巣を破って登場する場面は、指導者によって演出が異なるため「どのように出てくるのか分からない。当日を楽しみにしてください」と呼び掛けた。

 見どころとなる土蜘蛛がクモの糸を投げつける場面では、両袖の中に事前にいくつもの糸の仕掛けを仕込んでいることを説明。「考えて投げないと弾切れになる」と会場の笑いを誘った。また、糸は紙でできているため、風の影響を受けやすく「まっすぐ飛ばず、相手に糸を引っかけるのは難しい」と話した。その後、能装束の肩上げを実践し、着付けを披露。参加者は興味深く見入っていた。このほか、能「巻絹(まきぎぬ)」についても語った。

 能楽講座は、来月2、9日にも開かれる。参加無料。2日は、能楽ジャーナリストの石淵文恵さんが「『土蜘蛛』と『剣の巻』」と題して話す。9日は、奈良県立万葉文化館企画・研究係長の井上さやかさんが「和歌の霊性〜『巻絹』をよむ〜」と題し話す。

 いずれも午後7時から、延岡市東本小路の市民協働まちづくりセンター。希望者は事前にのべおか天下一市民交流機構(電話延岡33・0248、メールtengaichi@dolphin.ocn.ne.jp)に申し込みが必要。

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