旧立岩小体育館に壁画完成

小中学生とアーティスト共同で−諸塚村

　諸塚村七ツ山の旧立岩小学校の体育館に１７日、壁画が完成した。村内の小中学生と壁画アーティストＳｃｈｏｋｏＴａｎａｋａ（ショウコ・タナカ）さん（３１）＝東京都在住＝が共同で制作した。

　同校は児童数の減少により、２００６年３月に閉校。校舎は今年度中に取り壊される予定だが、体育館は地域の人たちに利用してもらうため、取り壊さずに残る。

　壁画は校舎の取り壊し工事を前に、村の体験活動サークル「もろっこサークル」が企画した。

　ショウコさんは７月下旬から約１週間、同村に滞在し、高所作業車に乗って、体育館の外壁の上部に高さ１０メートル、幅６メートルの絵を仕上げた。

　テーマは「森の灯台」。水面に浮かぶ灯台と、その明かりを目印にこぎ出されるボートを、一頭の馬が静かに見守る。森の恵みとされる同村の「昔とうきび」なども描かれている。

　この日は村内から小中学生ら約３０人が参加。残った外壁の下部に木立、星空、昆虫などを思い思いに描き込み、上部のショウコさんの絵と自分たちの絵をつないだ。

　西田凜生（りおん）さん＝諸塚中１年＝は、完成した色鮮やかな壁画を見上げ「世界に一つだけの絵になった。コロナ禍であまり遊びに行けなかったので、夏休みの良い思い出になりそう」と笑顔。

　その様子をオンラインで画面越しに見守ったショウコさんは「普段生活している都内と比べ、諸塚村に滞在した数日間は、自然に囲まれて夢のようだった。きょう、その場に立ち会えなかったことは残念だが、みんな大胆に描いてくれて、とてもうれしい」と目を細めた。

　なお今後、体育館のアスベスト除去工事に伴い、今回完成した壁画の一部は消えてしまう。