第１２回牧水・短歌甲子園

本紙掲載日：2022-08-29

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富島、尚学館健闘も決勝Ｔ届かず－本選に１２チーム出場

◆３年ぶり会場で実施

　高校生が自作の短歌で感性や自己表現力を競う「第１２回牧水・短歌甲子園」の本選が２０、２１日、日向市中町の市中央公民館であった。３年ぶりの対面形式となった今回は、本選に県内外の１２チームがエントリーし、県北からは地元の富島と延岡学園尚学館高等部が出場。両校とも健闘したが予選リーグで破れ、決勝トーナメント進出はならなかった。優勝は宮崎西。主催は日向市、市教育委員会、日向若山牧水顕彰会。

　今年は１都１道２府１２県から３０校、過去最多となる６０チームの申し込みがあり、予選審査で本選に出場する１２チームを決定。本選には県北２校を含む県内４校のほか、福岡２校、北海道、宮城、東京、山梨、大阪、熊本から各１校が出場した。

　大会は野球のように先攻、後攻を決めて交互に短歌を詠み合う形式。１チーム３人で構成され、発表者は順に１～３番打者という設定で進行した。

　試合は、攻撃側の打者が短歌を発表し、３１文字に込められた思いなどを他のメンバーが補足説明などをしてアピール。守備側は相手の短歌に対する意見、質問などをぶつけて戦った。

　対戦中、選手から鋭い批評やユーモアある回答などが飛び出すと、審査員からヒットと書かれたうちわが提示されたり、観客席からは笑い声が起こるなど会場は大いに盛り上がった。試合の勝敗は短歌の出来栄え、制限時間内での意見の攻防などを基に、俵万智さんら３人の審査員が旗判定で決めた。

　２０日は３チームずつ４ブロックの総当たり戦。各チームが「間」「服」「恋」の題詠で高校生ならではの視点、感性、表現などが盛り込まれた短歌を次々と披露。富島と尚学館も、それぞれ個性豊かな作品で戦ったが、あと一歩及ばず決勝トーナメントに進めなかった。

　２１日の決勝では、宮崎西（宮崎市）が気仙沼（宮城）を２─１で破り、３年ぶり４度目の栄冠に輝いた。個人戦の部（個人賞）の発表もあり、日向若山牧水顕彰会長賞に富島３年の河内優桜さん、笹公人賞に尚学館高等部２年の茶圓七海さんなどが選出された。来場者の投票で決まる牧水賞には、咲くやこの花（大阪）３年の水野春予さんが選ばれた。

□団体戦
［予選リーグ］
▽グループＡ
①気仙沼（宮城県）②甲府東（山梨県）③富島（日向市）

▽同Ｂ
①宮崎商（宮崎市）②咲くやこの花（大阪府）③八女（福岡県）

▽同Ｃ
①筑波大学付属（東京都）②尚学館（延岡市）③福岡女学院（福岡県）

▽同Ｄ
①宮崎西（宮崎市）②札幌創成（北海道）③真和（熊本県）＝各グループの１位が決勝トーナメントへ＝

［決勝トーナメント］
▽準決勝
気仙沼２─１宮崎商、宮崎西２─１筑波大付属

▽決勝
宮崎西２─１気仙沼

▽順位
①宮崎西（宮崎市）②気仙沼（宮城県）③宮崎商（宮崎市）、筑波大付属（東京都）

□個人戦（個人賞）
【牧水賞】自由題
水野春予－大阪府・咲くやこの花高等学校３年
どこまでは許されるのか知りたくて君の背中に海月（くらげ）を入れた

【若山牧水記念文学館長賞／館長伊藤一彦】
酒井宏太郎－東京都・筑波大学付属高等学校２年
モータルな隙間デパートの紙袋だけ詰め込んで隠そうとする。

【日向若山牧水顕彰会長賞】
河内優桜－日向市・富島高等学校３年
居残りの被服室の友繰り返す途切れ途切れのミシンの音色

【俵万智賞】
及川舞－宮城県・気仙沼高等学校２年
初恋はレモンの味だと言うけれどシチリアですか瀬戸内ですか

【大口玲子賞】
藥丸涼花－大阪府・咲くやこの花高等学校３年
青空に背筋伸ばした整列の制服は白夏雲は白

【笹公人賞】
茶圓七海－延岡市・尚学館高等部２年
夏祭り恋に落ちゆく友を見てしぼんだヨーヨー吊り下げ帰る

【牧水・短歌甲子園実行委員会賞】
永井敦也－東京都・筑波大学付属高等学校２年
リリカルな寝息、グラスのアイスキューブ、南極の映像、あ、天使の間

【牧水・短歌甲子園ＯＢＯＧ会みなと賞】
窪田麗未－宮崎市・宮崎商業高等学校３年
自転車に忘れていたねコカコーラ噴き出るような初恋だった