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和牛オリンピック・連覇への道、県代表牛への思い(7)

本紙掲載日:2022-09-30
1面
6区の県代表「たけまん」と引き手の今村さん(左)、出品者の田辺さん

6区・4頭のそろい具合で評価−田辺貴紀さん=高千穂町上野、今村隼さん=高千穂町岩戸

◆田辺さんが出品、引き手の今村さん

 「一緒に仕事をしていて楽しい」。就農3年目の今村隼さん(22)は、尊敬し「こっちのお父さんのよう」と慕う田辺貴紀さん(44)が出品する「たけまん」の引き手として、全国に挑む。

 大分県出身。調理師専門学校への進学を考えていた高校3年の夏、母方の実家高千穂町岩戸で親戚から畜産の話を聞き「一気に考えが変わった」。大分県立農業大学校に進学。学ぶうちに畜産王国宮崎の偉大さを感じ、「大好きな高千穂で牛飼いをしたい」との思いは膨らんだ。

 ふたいとこという田辺さんとの出会いは1年時の研修。人柄が良かったことや田辺さんの父・博文さん(67)からの誘いもあり、卒業後はここで働くと決めた。生き物相手の仕事で大変さはあるが、「いい牛ができたり、高値で売れたりしたときの達成感がある」と目の輝きは変わらない。

 たけまんは、郡内の畜産農家が出品した3頭と共に6区(総合評価群・種牛)代表に選出された。過去2回、仲間と悔しさを味わった田辺さんにとっては「三度目の正直」だった。4頭のそろい具合などで評価されるため、郡内の農家で話し合って決めたイメージ通りの導入牛。昨年11月に田辺さんの牛舎に来て以来、今村さんが任された。

 尊敬する人から任され、うれしかったが、調教に苦労した時も。しかし西臼杵の候補牛が絞られていくうちに責任感を感じ、今では「パートナー」と表現する。

 県大会でうれし涙を流す田辺さんを目の当たりにし、「もう一踏ん張り。後には引けないと思った」と今村さん。「この道を選んで良かった。貴紀さんと出会えたから」。尊敬する田辺さんの思いも背負い、大舞台も堂々と引く。

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