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子どもの居場所つくりたい

本紙掲載日:2022-10-06
1面
NPO法人を設立した「teとteの会」の甲斐代表(右端)ら中心メンバー

母親4人・NPO法人を設立−teとteの会

 重症心身障害児や医療的ケア児の母親4人が、「子どもたちの居場所をつくりたい」と大きな一歩を踏み出した――。障害児の保護者でつくる日向市の「teとte(てとて)の会」(甲斐麻央代表)はこのほど、地域に不足しているとされる重症心身障害児や医療的ケア児の生活介護を軸とした事業所を立ち上げるため、特定非営利活動(NPO)法人を設立した。来年1月の事業開始を目指す。

 甲斐代表(52)によると、利用できる施設のない障害児は、同世代や地域の人と交流したり、外出したりすることも難しく、社会の中で孤立しがち。家族は24時間続く医療的ケアや介護を一身に担い、日常を守っているという。

 同会は、そんな障害児の受け皿を拡充し、地域に居場所をつくるため、法人設立と事業所の立ち上げを決意した。とはいえ、中心メンバー4人は「みんな普通のお母さん」と甲斐代表。「NPO法人って何」「定款って何」と分からないことだらけだったという。

 法人設立の準備に加え、介護職員初任者研修などの資格取得にも励んできた。疲れや焦りから心の余裕をなくしてしまった時期もあったが、そのたび、活動の原点を見詰め直し、前を向いてきた。

 同会は2016年、自主サークルとして活動を開始。子どもたちの日常を少しでも知ってもらいたいと、子どもと一緒に街中のイベントに参加するなど積極的に地域とつながり、自分たちから現状を発信してきた。

 「この子どもたちは決して一人では生きていけない。だからこそ親亡き後、託せる居場所をつくっておきたい」との思いからだった。

 そして気付いた。「子どもたちのためにと続けてきたけども、本当は私たち(母親)自身のため。私たち自身、元気に輝くために。自分らしく生きていくために」

 新たに立ち上げる事業所では、生活介護を軸に放課後等デイサービス、日中一時預かりを行う。現在は来年1月の事業開始を目指し、事業所の物件探しや有資格者の確保を進める。

 他にも、やるべき手続き、検討すべき課題は山積みだが、甲斐代表は「私たちが今まで大切にしてきたことを見失わなければ、きっと良い方向に向かうと信じている」と力を込める。

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