地域医療、公衆衛生を学ぶ
本紙掲載日：2022-10-15
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宮大医学部３年生の約１１０人
◆北浦診療所、３人が３日間研修
宮崎大学医学部の３年生約１１０人はこのほど、複数のグループに分かれて県内外の医療機関を訪ね、地域医療や公衆衛生について学んだ。このうち、大山遼さん（２４）＝熊本県出身＝、谷本賢信さん（２１）＝愛媛県出身＝、中村陸人さん（２０）＝高原町出身＝の３人は、延岡市の北浦診療所（日�睛�昭所長）で研修。市内の老健施設や薬局も見学し、３日間にわたって地域に根ざした医療の現場を体感した。
初日となる９月２６日は、北浦町唯一の小規模多機能型居宅介護施設「結いの里」（河野奈美子施設長）を訪問。デイサービスを基本に訪問介護、ショートステイのサービスも提供する同施設の利点や、他の老人介護施設との違いについて学んだ。
施設内では河野施設長が施設特有の尿臭の解消についてや、日光が当たらない部屋の照明は通常より明るくするなど、快適に過ごすための細かな取り組みなどを紹介。「住み慣れた町で、健康に、最期まで過ごさせることが理念。常に利用者の意見を尊重し、一番自然体で過ごせる場所を目指している」ことを強調した。
最後に医学生３人が広間に集まり、自己紹介をすると、利用者からは「白衣が、かっこいいね」「わざわざ来てくれてありがとう」「また帰ってきて」など、温かい言葉が飛び交った。
スポーツドクターを目指す大山さんは「新型コロナのタイミングもあって、自分自身、特養（特別養護老人ホーム）に入った祖母と長く面会できていなかった。制限が多い中、家族の絆を尊重する小規模多機能型居宅介護のサービスは素晴らしい」。今回、唯一の県内出身者だった中村さんは「地元の高原町でも医師不足が深刻な問題になっている。地域医療は、少ない人数で多くの人を見なければならず、包括的に、全体を見る目が必要だと思った」とそれぞれ感想。
幼少期は体が弱く、同じ立場の人々を治したいと医師を志した谷本さんは「高校３年生の時に、ボランティアで介護施設にお邪魔したことはあったが、今回は医師側の視点で、また違った見方ができた。卒業後も宮崎に残ろうと考えているので（今回の研修を生かして）地域のことも考えられる、地域に根差した医者を目指していきたい」と力を込めた。