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遠見半島に鎮座−鵜戸神社例祭

本紙掲載日:2022-10-24
8面

険しい岩場の社・氏子ら豊漁など祈願

◆厳かに神事イカの刺し身をお供え・門川

 門川町の遠見半島に鎮座する鵜戸神社の例祭がこのほど、海面近くの洞に建てられた社で行われ、氏子らが豊漁などを願った。

 鵜戸神社は、地元の人たちから「岬権現(みさきごんげん)」「権現さん」と呼ばれ親しまれており、毎年、旧暦9月9日に漁師ら氏子が集い、例祭が行われている。

 遠見山の直下に位置し、歩いて下って参拝することもできるが、足場が悪いため、今年は庵川漁港から船で向かうことに。

 門川神社の河野宗清名誉宮司(66)、地元の漁師、町観光協会の職員ら8人が乗船し、揺られること約20分、社へと続く岩場に上陸した。

 一行は新調するためのしめ縄や、お供え用の酒、野菜、米などを抱え、険しい岩場をつたって洞へ。しばらく進むと、岩肌に囲まれた社が現れた。

 社は見晴らしよい高所に建てられており、はしご階段を登ると、3畳ほどの広さの板敷きに到着。ときおり吹き上げる潮風が、汗を心地良く乾かしてくれた。

 しめ縄を新調したり、お供え物を並べたりして準備を整えた後、河野名誉宮司による神事が厳かに営まれた。氏子らは玉串をささげ豊漁、航海の安全、家内安全などを願った。

 鵜戸神社は753年に創建。ご神体と共にイカが流れ着いたと伝えられており、イカの刺し身をお供えするのが習わしとなっている。神事後の直会では、そのイカの刺し身が振る舞われた。

 氏子代表の樫野康夫さん(76)=同町庵川=によると、険しい岩場にもかかわらず、かつては地元だけでなく、遠見山を挟んだ延岡市からも多くの参拝者が足を運んだという。

 数日前から板敷きを拭き上げたり、足場を整地したりと準備してきた樫野さん。「今年も無事に終えられて良かった」と、ほっとした様子だった。

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