月食の夜に幻想的な舞−高千穂

ダンサーの森弘さん、天岩戸神社で満月神楽

　高千穂町岩戸の天岩戸神社（佐藤永周宮司）西本宮神楽殿で８日、皆既月食に合わせた特別イベント「満月神楽」があった。ダンサーや舞台芸術家として国内外で活躍する森弘一郎さん（４５）＝福岡県出身＝が、オリジナル演舞「風と水の舞」を奉納。大勢の来場者が幻想的な舞に見入った。

　森さんはダンサーとして活躍する一方、北欧デンマークを中心に多くの舞台作品に出演。２００３年に上演した劇場公演「くるみ割り人形ＨＩＰＨＯＰバージョン」をはじめ、数々の舞台でデンマーク国内最高評価の六つ星を取得するなど、舞台芸術家としても高い評価を受けている。

　同イベントは「天鈿女命（アメノウズメノミコト）が舞ったとされる芸事発祥の地で舞いたい」との森さんの要望で実現。天岩戸神社に伝わる鈿女の衣装をまとい、日本神話における主神・天照大御神（アマテラスオオミカミ）や水と風の神々への感謝を表現した。

　月が影に覆われた神秘的な条件下で、緩急織り交ぜた荘厳な舞を披露。細部まで神経を巡らせた繊細かつ力強い動きに加え、佐藤宮司（３９）が唱える祝詞とのコラボレーションもあり、息をのむように鑑賞する来場者の姿が多く見られた。

　一緒に訪れていた佐藤久美子さん（７５）＝同町岩戸＝と甲斐和枝さん（７５）＝同町三田井＝は「座席から見える天体ショー（皆既月食）と相まって素晴らしかった。美しい舞い姿に感動しました」と笑顔。共演した佐藤宮司は「お人柄も当宮で舞っていただくにふさわしく、しっかり『奉納』という形をとっていただけたので安心してお任せできました」と話した。