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図録「山里の竹籠職人」−日之影町

本紙掲載日:2022-11-25
1面
再版した図録を持つ小川会長(右)と佐藤町長

廣島さんの半生と作品収録

◆保存会が一部改訂−町が援助し再版

 日之影町竹工芸保存会(小川鉄平会長、約30人)はこのほど、同町分城出身の竹細工職人廣島一夫さん(享年98)の半生や作品などを収め、2009年に出版した図録「山里の竹籠職人」を一部改訂、町の援助で1500部を再版した。廣島さん最晩年の弟子でもある小川会長(46)は8日、町役場を訪れ、佐藤貢町長へ再版の報告と謝辞を伝えた。

 図録は、米国のサックラーギャラリー学芸員のルイーズ・コートさんと町内の竹細工文化を愛した故中村憲治さんの共著。1994年11月〜95年7月に米国のサックラーギャラリーで開かれた廣島さんの作品を含む竹細工展覧会に合わせて初出版された。

 2007年に死去した中村さんの遺志を引き継いだ町の働き掛けで、09年に翻訳家の松村真希子さんが訳した日本語版を発行。10年間の歳月を経て千部の在庫が底を尽きかけたことから今年、保存会が中心となって再版の準備を進めていた。

 改訂版は、小川会長が誤字や脱字を修正。竹細工職人の目線から、一般人にとって分かりにくいと思われる語句を解説する補足表などが追加された。縦横21センチの正方形で全155ページ。定価は2200円(税込み)。町立図書館や町竹細工資料館などで取り扱いながら、少しずつ普及していく予定という。

 報告を聞き、図録を受け取った佐藤町長は「この本を見て『竹籠を作ってみたい』とやってくる若者もおり、大変ありがたく思っている。改訂版が再版されたということで、今後も貴重な(竹細工)文化が続いていくことを願う」と感謝。

 小川会長は「時間はかかったがようやく形にすることができた。竹細工に関心を持つ人や職人にとっても良い情報が得られると思うし、日之影町の竹細工文化を国内外に発信できることをうれしく思う」と話した。

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