霧島連山で新種の植物

本紙掲載日：2022-11-30

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新種と発表された淡い紅色が特徴のキリシマギンリョウソウ（県総合博物館提供）

一般的な白色のギンリョウソウ（県総合博物館提供）

県総合博物館神戸大が確認

◆キリシマギンリョウソウと命名

　県総合博物館や神戸大学などの研究グループは３０日、霧島連山で確認されたツツジ科ギンリョウソウ属の植物の一種が、新種であると発表した。花弁やがく片が透明感のある淡い紅色を帯びているのが特徴で、最初の発見場所である霧島の名を冠し「キリシマギンリョウソウ」と命名された。

　新種は１９９８年５月２９日、同博物館学芸課課長の黒木秀一さん（５７）が霧島山大浪池登山道沿いで確認。当時は白色のギンリョウソウの色変わりのベニバナギンリョウソウとされたが、色や花の形などが異なることから新種の可能性を探るため、２００２年から調査を開始した。

　約２０年にわたる調査・共同研究では、黒木さんらが菌根や菌糸の形態の比較や開花時期の調査、神戸大学大学院理学研究科の末次健司教授がＤＮＡ分析、東北大学大学院農学研究科の陶山佳久教授が植物体の塩基配列分析を行うなど、新種とギンリョウソウとの客観的な違いを明確化。

　ギンリョウソウに比べ、花弁やがく片の色が紅色になるほか、①がく片が多く、花に接している②菌類を取り込んでいる根が目立たない③花期はギンリョウソウより１カ月遅いなどの違いがあり、「形態学的、生態学的、遺伝学的にギンリョウソウとは別の実体」として新種と結論付けた。

　ギンリョウソウは日本や東南アジア、中国、台湾などを中心に広く分布。きのこなどの菌類を根に取り込み養分を吸収して自生する菌従属栄養植物と呼ばれるが、世界的に見てもギンリョウソウ属は１種のみと考えられてきたため、２種目の発見となった。

　研究グループの発表論文は、日本植物学会の国際誌「ジャーナル・オブ・プラント・リサーチ」にオンラインで掲載される。

　発見した同博物館の黒木さんは「博物館としても喜ばしい発表。ミヤマキリシマなどとともに霧島山を代表する植物として広く紹介したい。また、霧島山の貴重な自然環境の保全意識を高める植物になってもらえば」と話していた。

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