「税に問題意識持って」

延岡税務署長、大学生に講演

　延岡税務署の小沢百々子署長による税に関する講演がこのほど、延岡市吉野町の九州保健福祉大学であった。全学の１年生を対象とした講義「日向国地域論」の一環として、同大が、国税庁の「税を考える週間」（１１月１１〜１７日）に開いた。

　演題は「これからの社会に向かって」。最初に「イギリス、スウェーデン、デンマーク、日本で缶ビールを買ったとき、日本の消費税率は上から何番目？」（答えは、税率が高い方からスウェーデン、デンマーク、イギリス、日本）などクイズで学生たちの興味を引き、税の現状と役割、税務署がどのような仕事をしているかを、図や表を使いながら分かりやすく解説した。

　税金は、いわば「社会の会費」。教育、医療、警察、道路など、国民が健康で文化的な生活を送るために必要な事業や施設整備に使われている。

　安定した税収が見込める消費税を導入して歳入を増やしているが、それでも足りず、国債を発行（借金）している理由は、高齢化による社会保障費の増加。

　１９６５年は高齢者１人の生活を９・１人で支えていたが、２０５０年になるとわずか１・３人で１人を支えなければならなくなる。そのため子どもを、働き手をどう増やすか、高齢者への年金給付額の見直し、負担の増額などが検討されている。「皆さんの世代にダイレクトに関わってくることなので問題意識を持って」と呼び掛けた。

　また、国税庁・国税局・税務署が今、力を入れているのはＤＸ（デジタルトランスフォーメーション）。「不正があれば、誰でも見つけられるようにするのが目的」。査察調査で不正を暴いていくドラマも見せて「正直な納税者が意欲をなくさないよう、課税の公平を確保するのがわれわれの仕事」と強調した。