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火鎮、五穀豊穣を願い

本紙掲載日:2023-01-25
2面
五ケ瀬町桑野内で3年ぶりに開かれた「古戸野神社神楽祭」(21日、黒板村らくがき庄)

3年ぶり、古戸野神社夜神楽祭−五ケ瀬町桑野内

 五ケ瀬町桑野内で100年以上続く伝統神事「古戸野神社夜神楽祭」が21、22日、同地区の黒板村らくがき庄(後藤福光さん宅)であった。県や町の関係者、地域の人たち、宮崎大学の学生ら約100人が参列。火鎮祈願をはじめ、五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全を願う荘厳な舞に見入った。

 古戸野神楽は、室町時代発祥の地神楽に、南朝忠臣芝原又三郎が高千穂神楽の要素を合わせ、熊野三社大権現(現・古戸野神社)に奉納したことが起源とされる。

 1872年、同地区の小田伝次郎により現在の形に要略。氏子中に火災が多発した1917年以降、古戸野神社の祭神カグツチノミコト(火鎮の神)を崇敬し、旧暦の11月19日に夜を徹して三十三番の舞を奉納している。

 夜神楽祭は新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となり、式典で興梠博良宮司(64)が祝詞を奏上。参列者の代表が神前に玉串をささげた後、古戸野神社神楽保存会(興梠利光頭取、16人)による舞が始まった。

 奉仕者(ほしゃ)と呼ばれる舞い手が、氏神を神庭(こうにわ)に降ろす「神颪(かみおろし)」から順番に奉納。宅内に入りきらなかった参列者はドラム缶を使ったたき火で暖を取り、地鶏の炭火焼きやかっぽ酒を楽しみながら舞を鑑賞する姿も見られた。

 熊本県から訪れたという吉本宏さん(45)は「国道218号に開催告知が出ていたので立ち寄った。神楽はもちろん素晴らしく、会場全体のどこか懐かしい雰囲気も心地良いです」と感想。

 興梠宮司は「コロナ禍を経て、ようやくという思いが強い。後継者不足は深刻だが、このようなまつりごとを絶やさず続けることで、先人が残した伝統を次の世代に継承したい」と話した。

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