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柔道授業を支援へ−旭化成柔道部

本紙掲載日:2023-02-06
1面

来年度から公立中学校が対象

◆実施を前に北浦中で特別指導

 旭化成柔道部は来年度から、延岡市内の公立中学校で柔道の授業支援を行うことになった。本格始動を前に1月31日、北浦中学校(川原寛幸校長、49人)で特別柔道教室があった。現役選手ら11人が訪れ、道着の着方から技まで丁寧に指導した。現役選手の授業支援は、全国的に珍しいという。

 同部は「活動させてもらっている延岡に貢献できることを」と、新型コロナ流行前からどう取り組むのかを模索。昨年6月に市内の園児と柔道を通し交流する「AKJTキッズプロジェクト」を始めるなど、具現化させてきた。

 学校での支援は部内で挙がっていた案の一つ。市内の中学校に柔道専門の教員は少なく、専門的な技の指導や安全確保の面で教員が不安を抱えている実情と一致。市教委と相談を重ね、来年度からは教員のサポートとして授業に入り、補助することを決めたという。

 同31日は延岡が練習拠点の全選手とコーチ、マネジャーが訪れた。緊張した面持ちの1、2年生を前に、選手は1人ずつ自己紹介。柔道は人間力形成の場でもあることや、創始者・嘉納治五郎が説いた「精力善用」「自他共栄」の言葉を紹介し、柔道着の着方を教えた。

 選手は背負い投げ、内股、大外刈り、足払いなど技を披露。王子谷剛志主将(30)の指導で大腰を練習した。王子谷主将は、1歩目に踏み込む足の位置や、釣り手と引き手を動かして相手のバランスを崩すこと、おんぶのように相手を背負うことなどポイントを説明。生徒は技に入るまでの動きを何度も繰り返した。

 受け身も練習し、「どんだけ強い選手も一番最初に学ぶ。これを身に付けたら日常生活でも大きなけがから身を守るのに役立つ」と山本悠司選手(27)。筋持久力やバランスを付けるため、選手が普段やっているトレーニングも体験した。

 鳥居彪峨さん(14)は「難しかったけど分かりやすく教えてもらえた」、岡田愛夢呂さん(13)は「緊張したがいい経験になった。一つ一つ丁寧に教えてもらった」と笑顔。三宅将人さん(14)は「選手に教えてもらえることはめったにないことで貴重な体験になった。これからも頑張ってください」とお礼の言葉を述べた。

 保健体育科の谷村昂太教諭(28)は、選手の説明を動画で撮影するなど熱心に研究。「専門の指導をしていただき本当にありがたい。詳しく、正しく教えていただき、安心して授業に取り組むことができる」と話した。

 王子谷主将は「初心者への指導は珍しく、貴重な経験になった。柔道は専門性が必要な部分も多い。専門性を感じてもらうことで柔道の楽しさや魅力が伝わればと思う」と感想。全国的に珍しい取り組みであることについては「私たちがはしりとなって活動を続けられれば」と話した。

 学習指導要領改訂で、中学校では2012年から保健体育の授業で武道が必修化。市内では数校を除く多くの学校が、柔道を選択している。来年度は市内3校の柔道の授業に同部の部員が出向き、1回の授業に部員2人が入って教員の補助を行う予定。今月21日には旭中学校で、今回と同様の教室を計画している。

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