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もっと豊かな延岡へさらなる飛躍目指す

本紙掲載日:2023-02-09
8面

延岡市制施行90周年特集

 延岡市は11日、市制施行90周年を迎える。1933(昭和8)年の誕生から、戦後復興を経て豊かな自然と文化を育む工業都市に発展した。地域活性化や市民生活の向上に向け、国のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用したさまざまなDX(デジタル・トランスフォーメーション)プロジェクトに取り組んでいる。脱炭素先行地域として、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みもスタートする。昨年は延岡城・内藤記念博物館や野口遵記念館が開館した。「もっと豊かな延岡」へ、さらなる飛躍を目指す。


◇〃救急〃アズ・ア・サービス

 今年度、国のデジタル田園都市国家構想推進交付金の対象事業に、新たな救急搬送体制づくりのプロジェクト「データ連携基盤と次世代モビリティを活用した〃救急〃アズ・ア・サービス(QaaS〈カース〉)」が採択された。データ連携基盤を整備し、救急隊や医療機関などが患者の症状に関する情報を共有、初動対応に生かすシステムを今年度中に構築する。

 同プロジェクトでは旭化成や宮崎大学、慶應義塾大学大学院システムマネジメント研究科などと事業の推進団体を構成。宮大医学部付属病院や延岡市医師会、県立延岡病院の協力を得ながら取り組みを進める。

 救急搬送時に重症度などを表示するほか、除細動器から病院に心電図のデータを送信し、迅速で的確な医療処置につなげるシステムを実装。これと連携し、救急車、搬送先病院、消防指令センターなどの間で患者の症状に関する情報を共有する。

 救急搬送で救急車、ドクターカーの選定や運行管理などの設定を支援するシステムづくりにも取り組んでいる。空飛ぶクルマの実用化を見据え、救急車やドクターカーとの接続ポイント選定などを行う。

 また、個人が日々の健康記録や診療情報などを入力し、管理するアプリを実装。心電図などのデータを搬送先の医療機関に送信するシステムを生かし、個人の健康を管理するアプリとも連携することで、適切な医療処置につなげる。

 事業費は3億2997万円。このうち9割を国が交付金で支援する。

 延岡市など県北地域は、本県や隣県のドクターヘリが基地病院から約15分で到着可能な範囲の外にあり、救命救急医療への対応力強化が課題。プロジェクトによって地域間格差が解消し、課題の解決につながることが期待されている。


◇多目的屋内施設

 2023年度中の完成を目指し、西階公園遊泳場跡地に建設を進めている。
同公園は、県地域防災計画で災害時の後方支援拠点に位置付けられている。多目的屋内施設を整備することで、防災機能の強化とスポーツ施設の充実を図る。

 災害時は防災拠点として支援物資の受け入れや市民の一時避難場所となる。平時は野球、ソフトボール、フットサルなどスポーツの練習、スポーツキャンプ、幼稚園・保育園の運動会、地区行事など多目的に利用される。

 敷地面積6800平方メートル、建築面積3619平方メートル、延べ床面積3547平方メートル。このうち、屋内練習場が3025平方メートル(55メートル四方)。基礎は鉄筋コンクリート造り、建物は鉄骨造り、地上1階建て。

 施設の周囲に駐車場約150台分を整備し、同公園の課題となっている駐車場不足の緩和を図る。

 市営施設で初のネーミングライツ(命名権)を導入し、施設の管理・運営に充てる新たな財源の確保にも取り組む。


◇延岡城・内藤記念博物館

 内藤家の邸宅跡に当たる旧内藤記念館跡地に再整備し、昨年9月23日に開館。内藤家の貴重な名品をはじめとする6万点以上の歴史資料を所蔵し、それらを保存・活用する設備を整え、美術館機能を備えた郷土の歴史民俗博物館として生まれ変わった。

 国が国宝や重要文化財の公開に適していると認める「公開承認施設」を目指している。承認を受けると県北初、県内では都城市の都城島津邸に続いて2カ所目となる。歴史・文化を学ぶ場としてだけでなく、観光誘客の核としても役割が期待されている。

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