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21年度高齢者虐待137件

本紙掲載日:2023-03-06
1面

過去5年で最多−息子、夫、娘などから

◆「心理的」「身体的」「経済的」−介護放棄も

 家族など養護者による2021年度の高齢者虐待件数が、過去5年で最多となる前年度比19件増の137件だったことが、県の調べで分かった。養護者からの相談通報件数は386件で、調査開始の06年以降最多を更新した。県がこのほど、宮崎市の県企業局で開いた県高齢者虐待防止連絡会議で報告した。

 長寿介護課によると、虐待を受けた性別は、女性が74・6%、男性が25・4%と女性が全体の7割を占めた。年齢別では、80〜84歳が23・2%、70〜74歳が22・5%、85〜89歳と続いた。なお、1件に虐待された高齢者が複数いた事例があり、虐待件数137件に対し人数は138人だった。

 虐待の内容は、心理的虐待が53・6%と最も多く、次いで「身体的虐待」の51・4%、「経済的虐待」18・1%、「介護等放棄」7・2%だった。

 家族構成をみると、「未婚の子と同居」が最も多く39・1%、次いで「夫婦のみ世帯」が23・9%。虐待者と同居か、別居かの状況をみると、「虐待者とのみ同居」が50・0%と最も多く、「虐待者および他家族と同居」が37・7%で、両者を合わせると、虐待者と同居が87・7%もあった。

 虐待された高齢者と虐待者の続柄は「息子」が41・8%と最も高く、次いで「夫」が22・7%、「娘」が14・9%だった。

 虐待者の年齢は多い順に40代、50代、70〜74歳、65〜69歳。虐待の要因として挙げられたのは、「精神状態が安定していない」が最も多く、「ひきこもり」「障害・疾病」「理解力の不足や低下」「飲酒」「虐待者との虐待発生までの人間関係」などの理由が続いた。

 誰が相談・通報したかをみると、警察が56・3%で最多。次いで介護支援専門員や介護保険事業所職員が14・1%だった。

 また、養護、介護施設職員らによる虐待の相談・通報は17件あり、うち「事実確認調査を行った事例」は16件で、そのうち6件が虐待と認定された。施設従事者などによる虐待についての相談・通報者は、その施設職員からが25%、家族からが20%だった。

 同課の担当者は「周知、徹底により相談通報件数が増えたことが、判断件数の増加にも反映されたと考えられる」と一因を述べた。同会議には関係者約20人が出席し、「虐待を行った原因を詳細に分析した方がいい」などと意見を交わした。

◇障害者への虐待、相談件数など増加

 県障がい者虐待防止・権利擁護連絡会議はこのほど、宮崎市の県企業局で開かれ、障害者虐待についての相談、通報、届け出件数や虐待認定件数=いずれも2021年度の暫定値=が報告された。

 障がい福祉課によると、家族らによる虐待は12件(前年度8件)、福施設職員らによる虐待は10件(同2件)だった。

 虐待の内容は、心理的虐待が7件、身体的虐待とお金を使い込むなどの経済的虐待が6件、放棄・放置が4件。被虐待者は約8割が女性で、知的障害者への虐待が大半を占めた。

 虐待の相談、通報、届け出件数は、家族らからが110件(同58件)で前年度の52件増、福祉施設職員からが41件(同22件)で同19件増と約2倍に増加した。

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