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台風に備え−昨年の台風14号規模を想定

本紙掲載日:2023-03-29
1面
対面とリモートで開いた「五ケ瀬川水系等浸水被害・土砂災害軽減対策協議会」と「五ケ瀬川水系流域治水協議会」

五ケ瀬川水系国県、市町−被害軽減策を検討

◆霞堤保全、ごそ対策など

 「第10回五ケ瀬川水系等浸水被害・土砂災害軽減対策協議会」と「第5回五ケ瀬川水系流域治水協議会」が28日、延岡市大貫町の国土交通省延岡河川国道事務所で開かれ、国と県、流域市町が昨年9月の台風14号を踏まえた新年度事業を中心に、対策案を出し合った。

 両協議会は1級河川の五ケ瀬川と同水系2級河川の治水や災害軽減策について、国と県、流域市町が担当部署の垣根を越えて横断的に協議。この日は対面とインターネット通信を介したリモートで各機関の所属長や市町長、担当課長らが参加した。

 昨年9月の台風14号の振り返りでは、同等の規模だった2005年9月の台風14号以降に取り組んできた激甚災害対策特別緊急事業などの効果で、当時よりも格段に被害を抑えることができたことを確認。

 また、国の指針に基づき各機関が、災害時に想定される状況に応じて取るべき行動計画をまとめた「多機関連携型タイムライン」を運用し、対応に当たったことなどが報告された。

 両協議会は今回の台風でのタイムライン運用について評価点や改善すべき点を取りまとめた上で、地域に特化させた「五ケ瀬川水系流域タイムライン」を作成。次の台風へと備えることにしている。

 流域市町からの報告では延岡市の読谷山洋司市長が、北川流域の北川町家田地区などでは洪水のたびに、漂流した大量の木くずなど(ごそ)が田畑に堆積している問題を指摘。住民が冠水の中でごそが堆積しないよう除去に追われて、避難してもらえなかった危機感を訴え、対策を求めた。

 これに対し、延岡土木事務所はごそを食い止める竹林の植栽帯を設けたが発育が悪く、流入防止フェンスを設置したが台風14号では水圧で破断したことを報告。霞堤(かすみてい)の保全対策と併せ、フェンスを二重構造とする方針を示した。

 宮崎大学の杉尾哲名誉教授に代わり委員(アドバイザー)に加わった同大学の入江光輝教授は「これまでは想定以上の災害が起きたときにどう軽減するかという意識だったと思うが、今後は特に下流域の氾濫を前提とした考えが必要になってくると思う。それを共有することで流域治水の実現に一歩近づけるのではないか」と語った。

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