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これからのコロナ対応を研修−延岡市、市医師会

本紙掲載日:2023-05-18
1面
高齢者・障害者施設を対象にした新型コロナ感染対策研修会

延岡市内116施設の福祉施設職員

◆佐藤医師、最悪のシナリオ想定を

 延岡市内の入所施設を対象にした新型コロナウイルス感染対策研修会が16日、カルチャープラザのべおかハーモニーホールであった。高齢者施設83カ所、障害者施設33カ所から担当職員が参加し、今後の感染再拡大に備えた対応のポイントなどを学んだ。

 新型コロナの感染症法上の位置付けが8日で「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」へ移行したことに伴い、感染対策の業種別ガイドライン(指針)も運用が終了。事業者自らが感染対策の要否を判断することになったことから、延岡市と市医師会が適切な対応についての知識を深めてもらおうと開いた。

 開会に際し市医師会の佐藤信博会長は、施設内感染による救急搬送や県立延岡病院の負担増加が医療態勢の逼迫(ひっぱく)を招いた要因の一つだったと報告。一方、日本の死亡者数が海外に比べ大幅に少ないのは感染対策がしっかりしているためで、市内では効率的な感染患者の隔離や投薬治療の仕組みが整っているとして、今後の感染拡大に備えるよう意識の共有を呼び掛けた。

 研修ではまず、延岡保健所職員が5類移行に伴う新型コロナ対応の変更点などを説明。市内では2000年8月以降、8割以上の高齢者施設から入所者・職員の感染が報告されたといい、今後もインフルエンザと同様に10人以上か利用者の半数以上が感染した場合などは保健所に発生を報告するよう求めた。

 感染者(疑い含む)が確認された場合、専用病棟を設けるなど大幅な区画分けは不要で、個室が望ましいが感染患者同士を同じ部屋で隔離することは可能と説明。その際は室内から廊下に空気が流れないよう換気設備などを使用し、介護・介助の際は医療用マスクとゴーグルかフェースシールド、手袋、ガウンを着用するよう指導した。

 この後、延岡市新型コロナ対策アドバイザーの佐藤圭創医師が今後の感染流行について、来月までは落ち着いた状況が続く見込みだが新たな変異株への置き換わりが進んでいて、64歳以下の多くの人は秋までワクチン接種ができないため、8月ごろと来年1月ごろに大きな感染のピークが起きると予測。多くの専門家が感染者数は前回の第8波を上回ると見込んでいることを伝えた。

 このため、8日から始まった65歳以上と医療・介護従事者、基礎疾患がある人などを対象とするワクチン接種を早めに、可能な限り受けておくようアドバイス。施設に医師を派遣して集団接種もできるとして活用を呼び掛けた。

 抗ウイルス剤はラゲブリオが幅広く使用でき、即効性と効果、安全性の高さもこれまでの使用実績で確認されているとして、入所時にあらかじめ承諾を取り、ためらうことなく投与することを推奨。後遺症の予防効果も高いため、職員が感染した場合も投薬治療が望ましいと話した。

 今後は社会的に免疫が低下して常に一定数の感染者がいる「エンデミック」となり、救急搬送が増加する可能性を指摘。介護ができない医療機関の負担を抑えるためにも、入所者が感染した場合はこれまで通り、原則施設内で治療してもらうよう要請した。

 その上で、過去の症例を示しながら症状に応じたプロトコル(対応方針)を改めて周知。「最悪の場合のシナリオを考えておくことが大事」だとして、普段から嘱託医との連携や相談体制を整えておき、発熱など少しでも新型コロナを疑う入所者が出た場合はすぐに隔離するよう指導した。

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