延岡星雲高３年−倉本小雪さんが全国優勝・県勢初

第７０回ＮＨＫ杯全国高校放送コンテスト

◆テレビドキュメント部門・作品名「私の家族」

繁殖農家をやめる祖母の姿、実家に密着

　全国放送教育研究会連盟とＮＨＫが主催する「第７０回ＮＨＫ杯全国高校放送コンテスト」の全国大会が７月２５〜２７日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターとＮＨＫホールを会場に開かれた。全国から１４２６校、１万２６７９人が参加し、アナウンスや朗読、ラジオドキュメントなど計６部門で競った。このうち、テレビドキュメント部門では、県立延岡星雲高校放送部３年生の倉本小雪さん（１７）が優勝した。全６部門で県勢の優勝は初めて。

　倉本さんは日之影町出身で、同町にある自宅は記録によると明治時代から続いている牛の繁殖農家。同町では当たり前だった牛との生活を同校の友人に話すと驚かれ、少ししか離れていない延岡市でも繁殖農家があまり知られていないことを実感した。

　寮生活のため自宅から離れていた昨年、家族から繁殖農家をやめることを突然聞いた。同コンテストに提出する作品の題材選びの時期と重なり、「映像に残して繁殖農家をもっと多くの人に知ってほしい」という強い思いで、家族同然の存在である牛との生活に密着し、作品を「私の家族」と題した。

　牛の世話をしていた祖母、幼い頃から牛と共に過ごしてきたからこその思い出を持つ母親、産まれてきた子牛の名付け親だった妹を取材し、それぞれの思いを聞いた。作品の最後には、祖母が最も伝えたい言葉「やっぱりみんな牛を大事に育てちょるから、その気持ちを酌んでおいしく食べてほしい」で締めくくった。

　また、作品は映像がメインで、ナレーションはほとんどない。以前、テレビでナレーションが全くないドキュメンタリーを見て、「映像だけでも伝わるんだ。いつかはこういう作品を作りたい」と映像特有の力に魅了された。２年生の新人大会の作品に取り入れてみたが、うまく反映できず、この経験をバネにして今回のコンテストで再挑戦。その結果、ナレーションを減らしたことが審査員に評価され、「意識したことが伝わってうれしかった」。

　作品は１１月５日午後２時３０分〜同４時にＥテレの「ティーンズビデオ２０２３」で放送される予定という。「一農家の話だけど、全国に放送されて見てもらえることがうれしい。ちゃんと作って良かった。今まで知られていなかったことが私の力で広めることができる」と喜んだ。