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民俗部門調査が本格始動

本紙掲載日:2023-08-18
1面

延岡市史編さん事業−コロナ禍後の行事再開で

◆段上・別府大段上教授−伊形花笠踊りなど研究

 新型コロナウイルスの影響で進んでいなかった延岡市史編さん事業の民俗部門の調査、研究活動が、各地で行事が再開された今年、本格始動した。民俗部会の段上達雄部会長(70)=別府大学文学部史学・文化財学科特任教授=は、「ようやく本格的に回ることができるようになった。いろいろ行事を見て回りたい」と意気込んでいる。

 段上さんは、今月15、16日に同市伊形地区で開催された「伊形花笠(がさ)踊り」の奉納や関連行事に合わせて来延。同踊り保存会の重黒木實行会長(83)に伝説を尋ねたり、舞い手がかぶる花がさや踊りを写真に収めたりしながら、熱心にメモを取っていた。

 「見たかった踊り。初めて見ることができた。かさをかぶった段階で舞い手が神様になり、踊りの所作にも津波や神を招くものがある。7羽のシラサギが波頭を蹴って津波を引かせたという伝説も付いており、すごく分かりやすい」と感想。

 特に、16日に長浜海岸で行った「笠流し」の神事については、「全国にかさをかぶる踊りはあるが、かさを神様の元に返すというところは、他にはないのではないか」と感じ入った様子だった。

 民俗部門はこの3年間、祭りや伝統芸能の開催そのものが中止となることが多く、調査できない状況が続いていた。段上さんは、16日には土々呂漁協で開催された土々呂流れ灌頂(かんじょう)も見学。「なるべくたくさん見て、話を聞かせてもらいたい」と話していた。

 延岡市史は、市制施行100周年を迎える2032年度末までの全巻刊行を目指し、21年度から編さん事業が始まった。考古、古代、中世、近世、近現代、民俗の六つの専門部会が設置され、資料収集、調査、研究が進められている。

 計画では来年度末に近現代の史資料編を発刊。各巻800〜1000ページ程度で、32年度まで、年間1、2巻のペースで全17巻刊行する。民俗編は31年度に刊行予定。

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