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延岡市が座談会−地域の公共交通を考える

本紙掲載日:2023-08-25
1面
地域公共交通の課題点などについて意見を出し合う「地域座談会」の参加者

31日までに15地区で開催

◆意見を集約−改善し維持策へ

 延岡市は「地域の公共交通を考える地域座談会」を21日から市内各地区で開催している。地元の住民に意見を出してもらいながら現状の課題点や要望、改善に向けた提案を集約。地域公共交通計画に反映するなど、地区ごとの維持策に結びつけたいとしている。

 全国多くの地方都市同様に延岡市も本格的な人口減少・少子高齢化や、運転免許を返納する高齢者の増加、交通事業者の深刻な運転手不足など、公共交通を取り巻く状況はより厳しさを増し、維持・確保が難しくなってきている。

 こうした背景から市は、地域の特性や公共交通の利用実態、市民の生活行動・ニーズなどを把握し、「地域にとって望ましい地域旅客運送サービスの姿」を明らかにするため、5年ごとに市地域公共交通計画を策定。今年度は次期計画(2024〜28年度)策定を前に、座談会を31日まで中学校区単位の計15地区で開いている。

 21日に北方町川水流の北方文化センターで開かれた座談会(北方学園中学校区対象)では、市側から市内公共交通の現状が説明された後、参加住民がグループごとに意見交換。「ドライバーのほとんどが70歳以上だが自家用車以外に移動手段がなく、免許が返納できない」「バスの本数が少ないので不便」などの声が上がった。

 市が町内9路線で運用している乗り合いタクシーについては、「バス停に行くまでが遠い」「農作業の道具が積まれないので利用しにくい」「路線によって市中心部に通じていない」などと指摘。異なる路線が近接する地点もあるが「時間が連動していない」という、調整できそうな課題も挙げられ、改善に向けても意見を出し合っていた。

 地域座談会を通じて市ではこれまでに、市街地での北部・南部まちなか循環バスや南部乗り合いタクシー伊形線の運行、路線バス廃止に伴う既存乗り合いタクシーの延伸や経由地追加、住民が運転手を務めるグリーンスローモビリティ(時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車)の実証運行などが実現している。

 市地域・離島・交通政策課は「公共交通維持に向け、サービス衰退への〃悪循環〃から、活性化に向けた〃好循環〃へ転化する必要がある」として、座談会を通じ「問題意識を共有し、自分たちが主体的にできること、自分たちだけではできないことを明らかにしていただければ」と理解を求めている。

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