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9月1日「防災の日」−地震への備え万全に

本紙掲載日:2023-09-01
1面
臨時情報発令後の対応を発表する沿岸自治体の職員(8月30日、県防災庁舎)
訓練で職員の安否確認や登庁状況などの把握に努める職員ら(8月30日、県防災庁舎)
南海トラフ地震を想定した図上訓練(8月22日、県防災庁舎)

家具を固定、海岸に近づかない

 9月1日は「防災の日」。県内では近年、特に日向灘や南海トラフを震源とする巨大地震への危機感が高まっており、各自治体が災害の備えや避難方法について注意を喚起している。

 延岡市危機管理課などによると、巨大地震の事前の備えは「事前の耐震化」「家具の固定」が最優先。特に寝室は、家具が倒れ、圧迫死につながる恐れが非常に高いことから「家具をちゃんと固定できているか」「自分の方向に倒れてこないか」などを確認することが重要という。

 また、津波が来た際は「できるだけ早く、高い場所へ逃げること」が重要。特に、最大5〜10メートル以上の津波を警告する「大津波警報(特別警報)」が発令された際は、ただちに避難し、警報が出ている間は避難を続け、絶対に海岸に近づかないようにしなければならない。

 県が2013年に公表した想定結果によると「理論上最大クラスの南海トラフ地震(マグニチュード9・1)」が発生した場合、延岡市、日向市、門川町を含む県内13市町では最大震度7の揺れが観測されるといわれている。

 日向市には、地震発生からおよそ17分で最大津波水位約15メートルの津波が、延岡市では同じく17分で最大津波水位約14メートル、門川町には16分で最大津波水位約12メートルの津波が押し寄せるとされている。



◆臨時情報は「大きな減災効果」−京大防災研セミナー

 京都大学防災研究所と県は8月30日、県防災庁舎で南海トラフ地震に関するセミナーを開いた。日向市や門川町など沿岸10市町の担当職員ら約30人が参加した。

 東海沖などで先行地震が発生した後の1週間ほどは、四国・九州沖などで後発地震が発生する可能性が高まるとされ、この後発地震に対する警戒を呼び掛けるのが「臨時情報」となる。

 京大防災研究所の矢守克也教授によると、先行後に後発が起こる可能性を「普段の千倍以上」。臨時情報について「大きな減災効果がある」と強調。一方で「不確実。どこまで社会活動を続けるのか、考えてほしい」と呼び掛けた。

 参加者は、同情報発表から1日後と1週間後などに取るべき対応を各自考え、班員に共有。その上で「空振りでも対策を講じるべき」「避難所をいつ閉鎖すべきか」などと協議し、まとめた案を班ごとに発表した。


◆巨大地震に備え対応力の強化へ−県が訓練

 大規模災害発生時の災害対応や県民生活の安定を確保するため、県は8月30日、県業務継続計画(BCP)に基づいた非常時体制移行訓練などを行った。

 県は、大規模災害が発生した非常時に危機管理に臨む職員の意識や能力、全庁的な対応力を強化するため、BCP計画を策定し運用。南海トラフ地震を想定して毎年訓練を実施している。

 訓練では、地震発生後に危機管理課から全職員に送信された安否確認メールの返信などを集計し、職員の安否確認や登庁の状況などを把握したり、県庁非常時体制に移行した旨を全庁掲示板や庁内放送で周知したり、各所属の非常時体制移行の確認訓練などを行った。

 県危機管理課は「地震はいつ発生するか分からないので、災害に常に備えるためには繰り返し訓練を行う必要がある。一つ一つ丁寧に確認していきたい」と話していた。


◆震度7、津波17メートルを想定し訓練−図上訓練

 南海トラフ巨大地震を想定した図上訓練がこのほど県防災庁舎で行われた。四国沖を震源地とするマグニチュード9・1、最大震度7の地震が発生してから24時間後を想定。最大17メートルの津波などによる被害状況が非公開の中で応急対策を立案する「ロールプレーイング方式」で行われた。

 県災害対策本部をはじめ、警察や消防、自衛隊、インフラ事業者など関係機関の職員約160人が参加。人やライフライン、交通インフラなどの被害状況を共有。その上で、応急対策班や受援対策室などの各グループが、救助隊や医療チーム、物資の派遣調整、応援人材の受け入れ準備などに当たった。

 県によると、今回マニュアルの検証などを実施し、今年度中に災害対策本部総合対策部の編成を見直す見込み。南海トラフ地震は40年以内に90%の確率で発生し、本県は最悪の場合、最大震度7、最大17メートルの津波に襲われるとされる。

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