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勇壮な荒踊−4年ぶり奉納

本紙掲載日:2023-09-25
1面

三ケ所神社奉納は今年最後−五ケ瀬

◆国指定重要無形民俗文化財・ユネスコ無形文化財登録

 五ケ瀬町坂本地区に伝わる国指定重要無形民俗文化財「荒踊」が24日、町内の三ケ所神社、中登り神社、山城神社で奉納された。新型コロナウイルスの影響で4年ぶりの実施。勇壮な演舞を大勢の地元住民や見物客らが囲み、今後1年の無病息災などを祈願した。

 このうち三ケ所神社(原賢一郎宮司)は、高齢化が進む踊り手の負担を減らそうと、今年を最後に荒踊奉納の取りやめを決めている。今回は全12曲のうち5曲を奉納した。

 昨年新調した色鮮やかな武者装束をまとい、やり、長刀、弓、鉄砲などを持った約60人が「行列隊形練りの踊り」と「円陣隊形の輪踊り」を勇壮に舞った。

 隊形の一役を務める夫の勇志を見守った吉村勝子さん(78)=三ケ所=は「コロナ禍でしばらく開催されず、さみしい思いをしていました。坂本地区の秋といえば荒踊なので、再開されて本当にうれしい」と笑顔。

 荒踊保存会の長田豊明会長(67)は「三ケ所神社での奉納は今年で最後となりますが、荒踊を長く続けていくための前向きな判断と考えています。先人たちが誇りを持ち、大事に受け継いできた文化をしっかりと後世につなぎたい」と話した。

 五ケ瀬の荒踊は、天正年間(1573〜92年)、坂本城主伊賀守正行が創始。孫の山城守入道休覚が守護神二上大明神(現・三ケ所神社)に奉納する令を定めたことで広まったとされ、毎年秋の祭りなどで踊られている。

 現在は坂本地区の約200戸600人でつくる保存会が継承し、「踊り太夫」「太鼓付」といった一部役柄は世襲制。昨年11月に国指定重要無形文化財41件から構成される「風流踊り(ふりゅうおどり)」の一つとしてユネスコ無形文化遺産への登録が決まった。

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