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「得意なこと大切に」南方小で体験語る

本紙掲載日:2023-10-14
1面

橘田さん(文科省職員)延岡市教委で研修中

 文部科学省職員の橘田果歩さん(24)=愛知県出身、京都工芸繊維大学卒=が2日から、延岡市教育委員会で実務研修に励んでいる。

 文科省が将来の幹部として期待される若手職員を対象に、地方教育行政や学校教育などについて見識や理解を深めてもらおうと実施。延岡市教委は2001年度から研修生を受け入れており、今回で16人目となった。

 橘田さんは一昨年に入省。現在は大臣官房の文教施設企画・防災部計画課技術係で、学校施設の維持管理や老朽化対策、大学施設整備の予算配分などを担っている。

 研修期間は20日までで、市教委の各課を回りながら実務体験を積んでおり、12日には南方小学校で教育現場を見学。6年生99人に向けた授業も受け持ち、文科省の役割や、自らの小学校時代から今の仕事に就くまでについて紹介した。

 橘田さんは、幼少期に友達から一緒に遊ぶのを断られたことがショックで、小学生になっても同級生に話し掛けられず、運動も苦手で、「学校に行きたくなかった」と告白。

 それでも親を心配させまいと、1日1回は友達に話し掛け、話題に付いていけるようにアニメやアイドルのことを〃勉強〃したり、マーチングバンド部に入部して一日も休まず練習したりするなど、努力して乗り切ったと語った。

 一方、建物の絵を描いたり仮想の街を思い描くことが好きで、勉強も全く苦ではなく、「目標を立てコツコツ頑張り、テストでいい点数が取れるのがうれしかった」という。

 大学は「好きなことをする人が集まる場所」「自分のことを面白いと思ってくれる人がいて、努力して周りに合わせなくてもいい」と気付かされたことを振り返った。

 入省前には1週間にわたりさまざまな人の面接を受けたが、「自分の好きなことを100%伝えたら認めてもらえた」と話し、「自分のことを必要としてくれる人はきっといる」と力を込めた。

 その上で、「自分の得意なことは誰かにとって苦手なこと、自分の苦手なことは誰かにとって得意なこと。どうしてもできないことは補ってもらえばいい。社会はそうやってできていると思う」。「自分の得意なことを大切にしてほしい」とエールを送った。

 市教委での現場研修について橘田さんは、「文科省にいるとほぼデータや写真ばかりで現場のことは本当に分からないことが多く、自分の目で見ることを大事にしています」。

 同校では子どもたちが話し合いで課題解決を目指す新たな授業形式などに触れ、「どのような教育の形にしていくべきか、しっかり勉強したいと思います」と張り切っていた。

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