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ひのかげ近未来会議− 地域の課題解決案を探究

本紙掲載日:2023-10-14
8面

中学生、集大成の成果発表会

 日之影町立日之影中学校(藤田雅元校長、78人)の3年生29人は、中山間地域が抱える課題解決案を考え、町と協働実現を目指す探究学習「ひのかげ近未来会議」に取り組んでいる。町職員や町議会議員らを招いた成果発表会が6日、校内であり、より良い町づくりに向けて練り上げてきたアイデアを披露した。

 「ふるさとの日之影町に誇りと愛着を持ち、夢に向かって行動できる人財の育成」を目指すキャリア教育の一環。町教育委員会などの協力を得て2020年度に始まった取り組みで毎年、3年生を対象に行っている。

 今年は「農業」「観光」「里山」の3班に分かれ、課題設定やメンター(助言者)との意見交換、フィールドワーク、夏休み中のマイプロジェクト(個人探求)などを通して学びを深めてきた。

 集大成の位置付けとなるこの日は、農業班が「担い手不足を解決するためにはどうすればよいか」、観光班が「地域のイベントを継続観光業をより充実させるためにはどうすればよいのだろうか」、里山班が「人口が減少していく中でも里山を保全活用する方法はないだろうか」のテーマで発表した。

 このうち里山班は、人手不足で管理が行き届いていない人工林が及ぼす悪影響を深刻な問題と捉えた。「循環」をキーワードに、日之影町を含む世界農業遺産「高千穂郷・椎葉山地域」で根付く山間地農林業複合システムに着目。保全・管理された森林と多様な農業を調和させ、特徴的な複合経営を実現させる同システムに、マッチングによる資源循環機能を追加した「山がっちゃんこシステム」を実践することで、里山を持続的に管理できるとまとめた。

 メンターとのフィードバックと来賓を交えた意見交換会の後、町教育委員会の橋本範憲教育長は「内容もプレゼン方法も私たち大人の想像をはるかに超える素晴らしい発表だった。皆さんがどんな道を歩むか分からないが、ふるさと日之影を思う気持ちはずっと持ち続けてほしい」と講評。

 観光班の甲斐恋奈さん(14)は「新しいものを生み出すことに可能性を感じていたが、町のことを知っていくうちに『魅力的な資源をより魅力的にできないか』という考えに変わった。自分たちで探求し、導き出したという経験はこれからの人生で役に立つと思う」と話した。

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