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延岡の歴史・文化を満喫

本紙掲載日:2023-10-19
1面

のべおかさるきブラアガタ

◆市民ら延岡城跡と周辺を探訪

 延岡城跡などを探訪する市民向けイベント「のべおかさるきブラアガタ第1弾〜延岡の始まりと今物語〜」は15日、延岡市本小路の市社会教育センターを発着点とする川中地区であった。市民やスタッフなど約50人が参加し、散策を楽しみながら近世の本格的な城下町だった延岡の歴史文化に思いをはせた。主催は延岡史談会(甲斐典明会長)。

 出発前のオリエンテーションで、甲斐会長が延岡城と城下町について解説。前身となる縣(あがた)城の築城(1603年)から城下町の完成、縣から延岡への改称を経て廃城(1873年)となった経緯を示した甲斐会長は、高橋元種が建設に着手して有馬康純が完成させた城郭都市・延岡を「織田信長の安土城や豊臣秀吉の大坂城、徳川家康の江戸城など天下人の城を模範とする当時最先端の設計思想で建設された『織豊系近世城郭都市』と呼ばれる都市」と紹介した。

 その後、参加者は5班に分かれて武家屋敷や城下町全体を巡る探訪に出発。このうち甲斐会長が引率した班は、本小路と桜小路を中心とした約2時間のコースへ。藩校「廣業館」跡のカルチャープラザのべおか多目的ホール、日平銅山カラミれんが塀が立つ岡富中学校、本小路一帯の上級家臣団屋敷跡、内藤家延岡電気株式会社跡の九州電力延岡営業所、内藤家前半期から各時代の役所が置かれていた延岡簡易裁判所、桜馬場跡の川中コミュニティセンター北側などを歩いて回った。

 参加者は「内藤家延岡電気株式会社跡がある本小路角(延岡市役所交差点)は大正時代撮影の写真と現在の比較が可能で、歴史を可視化できる場所」「桜馬場は東西約331メートル。道幅は現在より広い12・8メートルあり、延岡城内で最大の通路・馬場。流鏑馬(やぶさめ)も行われていたと思われる」などの解説を聞きながら延岡の歴史を堪能していた。

 西正巳さん(73)=鶴ケ丘=は「今回のコースは何度も行き来しているが、こうしてゆっくりと歩いてみると意外と昔の面影を感じ取ることができて新鮮」と笑顔。

 市教委の澤野幸司教育長は「史跡一つ一つの知識はあったが、各所が歴史の線で結ばれていることを肌で感じるとより深みが出てくる」と感想。「新たなプログラム開発につながりそうな体験となった。ぜひ児童、生徒も実際に歩いて延岡の歴史を実感してもらいたい」と話していた。

 「のべおかさるきブラアガタ」は、文化庁の地域文化財総合活用推進事業で、期間は2025年度までの3年間。延岡史談会は初年度となる今年度のテーマを、延岡の原点でもある川中地区の過去と現在を再認識する「延岡の始まりと今物語」と設定した。

 甲斐会長は「今年は延岡城築城420年で廃城150年という節目の年。本事業を通して市民に延岡の歴史的価値を再認識してもらえれば。未来に向けたシビックプライドの醸成を図っていきたい」としている。

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