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旭化成・工藤社長と対談

本紙掲載日:2023-12-02
1面

目の前のやるべきことに対して、どうしたら社会に貢献できるか

◆夕刊デイリー新聞創刊60周年事業-広い視野と行動力気さくな人柄にじむ

 夕刊デイリー新聞創刊60周年を記念した旭化成の工藤幸四郎社長(64)=延岡市出身=の講演会が1日、同市の野口遵記念館で開催された。世界を見据える広い視野と行動力、気さくな人柄がにじむ語りに、市民ら約600人が聞き入った。


 講演会は、夕刊デイリー新聞社の松永和樹社長との対談形式で行われ、坂本光三郎編集局長が同席した。

 工藤社長は、旭化成の事業や社長としての仕事への思いなどを語ったほか、ふるさと延岡で過ごした南小学校、南中学校、延岡高校時代を振り返った。

 途中、工藤社長が南小5年生の時に夕刊デイリー新聞に投稿し、掲載された投書を声優の池田知聡さんが朗読するサプライズもあった。

 延岡市と日向市の合併について、メリットとデメリットをそれぞれしっかりと考察した投書で、客席からは拍手が起こった。

また、読者から寄せられた質問にも答えた。

「どういう思いで社長になられたのか」に対しては「延岡出身なので旭化成を今より良い会社にしようという思いは、他の社長が就任された時よりも強いと自負している」。

「人をまとめるなど指揮をする時に心掛けていることは」に対しては「最後の責任は自分で取ること。安心して仕事をしてもらうことが大事。チームをまとめるには弱みを含めて自分をさらけ出すことが必要だと思う」。

「大企業の社長に就任できたのは運だけではないと思うが、一番の要因は」に対しては「社内の人に自分という存在を知ってもらうこと。人間関係、人脈の多さが良い意味での運を引き寄せることになるのかもしれない」。

 最後に、工藤社長は「目の前のやるべきことに対し、どうしたら社会に貢献できるか一日一日考え『気が付いたら10年、20年たっていた』という歩み方が良いのではないか。夕刊デイリー新聞社は県北に根付いた新聞で、全国的にもすごくユニークな存在。そのような思いでさらに前進していただきたい。われわれも負けないように頑張っていきたい」と締めくくった。

 講演を聞いた岡富中3年の小野日響さん(15)は「自分も(工藤社長に)負けないくらいすごい人になって全国で活躍できるような人になりたい」。

 同3年の安藤丈翔さん(15)は「これから人のためになるような役割を担っていきたいと思いました」。

 延岡市伊形町の田中高志さん(75)は「旭化成らしいざっくばらんな企業の雰囲気が感じられて、とても良かった。工藤社長にはこれからも延岡を大事にしていただきたい」。

 同市桜ケ丘の小林シメノさん(84)は「すごく努力をされているんだなと感じました。小学生の頃に書いたというあの投書を見て、あの頃から旭化成を視野に入れていたんだと感心しました」と、それぞれ話した。

【プロフィル】1959年生まれ。延岡南小、延岡南中、延岡高を経て、82年に慶應義塾大法学部卒業。同年旭化成工業(現旭化成)入社。2008年、旭化成せんいロイカ事業部長、17年、旭化成上席執行役員兼繊維事業本部長兼大阪支社長などを経て、22年4月に代表取締役社長就任。

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