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伝統の農作業−五ケ所高原で「刈干し」

本紙掲載日:2023-12-11
1面
「五ケ所高原ゴマ姫の草原を守る会」による刈干し(9日)

家畜の餌蓄える冬の風習−守る会ら7人が作業

 高千穂町五ケ所で環境保全などに取り組む「五ケ所高原ゴマ姫の草原を守る会」(甲斐英明会長、22人)は9日、県指定重要生息地の五ケ所高原で「刈干し」を行った。

 刈干しは、草原における優占種であるマカヤやススキを刈り、天日で乾かしてつくる「とうび」を冬の家畜用飼料などとして備蓄する風習。景観維持にも一役買うほか、優占種に随伴する草花の多様な生育環境を形成するとされている。

 五ケ所高原にはヒメユリをはじめ、県の絶滅危惧種に指定されている希少植物約170種が生息。刈干しは、これらの生態系維持や高齢化する地元畜産農家に代わり、とうびを蓄えることなどを目的に毎年行っており、この日は7人が参加した。

 昔ながらの手法では大鎌を使うところを、50アールの草地面積などを考慮して刈り払い機を使用。急な斜面に密生した草を手際よく刈って束ね、数カ所に積み集める天日干しの作業に汗を流した。

 甲斐会長(75)は「会員も高齢化しており重労働だが、何としても草原を守りたいという一心で取り組んでいる。体力が持つ限り、地道に続けていきたい」と話した。

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