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みんなの消防団(下)地域防災の要を身近に

本紙掲載日:2023-12-14
1面

みんなで盛り上げていこう

◆16日に消防フェスタ−延岡総合文化センター

 消防団を身近に感じてもらうための取り組みは、16日に行われる「消防フェスタin延岡〜身近に感じよう!みんなの消防団」だけではない。延岡市消防団(荒木清団長、全6支団)は今年度から「機能別消防団員制度」を導入。幅広い年代が、まずは気軽に団活動に参加できる制度として、準備を進めている。



◇新たな団員確保策

 機能別消防団制度は「新たな団員確保策」として、総務省消防庁が2005年に打ち出した。民間の企業、団体の職員などが、それぞれの能力や事情に応じて、特定の消防団活動のみに参加できる制度だ。

 一般の団員が行う訓練や消火活動の強要は無く、まずはより多くの人たちに、消防団活動に触れてもらうことを目的としている。

 例えば、愛知県松江市の郵便局では、配達員ら数十人が登録。配送中に傷病者を見かけた際は、消防団員として救助活動を行う。

 宮崎市消防団は、同制度を利用して「水上バイク隊」を設置。水上バイクの専門家で編成され、水害が発生した際は迅速に出動する。

 延岡市消防団の機能別消防団員は現在0人。九州保健福祉大学の学生や、一般の企業、団体職員に提案しながら、制度の細かな内容を決めている段階という。

 延陵自動車学校(延岡市松山町)の松原明彦社長(61)は「(機能別消防団員制度を導入した)延岡市内の良いモデルケースになれば」と前向きに検討している。

 これまでも消防団車両の訓練でコースを無償で貸し出したり、イベントに消防団を招くなど団活動を支援してきた松原社長。「職員は全員、応急救護の資格も持っているので、協力できることはあると思います」と話している。

◇市民応援団続々と

 消防団に対する地域の応援態勢も盛り上がってきた。16日の消防フェスタでは、風の菓子「虎彦」(延岡市幸町)が、来場特典として非常食にもなる菓子「玄米ぽん煎」を先着500人にプレゼントする。上田耕一社長(69)は「防災について理解を深めていただけるイベントになれば」と期待する。

 虎彦の商品包み紙は虎と男性のイラスト。実は、東北の消防団員たちが踊る「火伏せの虎舞い」がモチーフで、「消防団へのエール」の意味合いもあると言う。「普段は消防団のありがたさに気付かない人も多いと思う。もっと感謝しないと」

 延岡市区長連絡協議会の森口正輝会長(74)は、昨年9月の台風14号の際に、各地域で対応に当たった消防団員たちに改めて感謝する。

 甚大な浸水被害を受けた富美山地区で救助活動に尽力した第14部の団員たちに感謝状を贈ると「団員は3人増えた」といい、「ささいなことですが、しっかりと感謝の気持ちを伝えることが大切だと実感しました」と振り返る。

 「消防団員の活動が、いつの間にか身近ではなくなった」と関係者は口をそろえる。森口会長は「消防団活動を盛り上げていくには、まずは、地域が消防団に寄り添うことが大切」と話す。

 上田社長は「災害や火事は、日常に必ず潜んでいるもの。消防団員の活動は必ず必要なもので、団員の皆さんには、自分たちの活動を誇りに思ってほしい」と呼び掛けていた。

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