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流域治水−県北の中学生が学ぶ

本紙掲載日:2023-12-18
8面
五ケ瀬川流域で行われた「流域治水バスツアー」(16日、高千穂町の栃又棚田)

国交省延岡−要所巡るバスツアー

 五ケ瀬川流域を巡りながら流域治水について学ぶバスツアーが16日、延岡市など1市3町であった。県北の4中学校(西階、北方学園、高千穂、五ケ瀬)から9人が参加し、交流しながら理解を深めた。主催は国土交通省九州地方整備局延岡河川国道事務所(麻生宏斉所長)。

◆宮崎大教授の提案で初開催

 流域治水は、流域内の住民や企業などが協力し、生態系にも配慮しながら治水対策を行う考え方。河川管理者だけでは気候変動により激甚化する水害や土砂災害を防ぐことは難しいとして、国土交通省が推進、広報活動に取り組んでいる。

 五ケ瀬川は2021年10月の河川整備基本方針見直しの際、全国に先駆けて流域治水の観点を盛り込んだことで注目されており、バスツアーは宮崎大学で河川工学を研究する入江光輝教授(51)の提案で初開催された。

 この日は、延岡市の延岡河川国道事務所で自己紹介や概要説明を行った後、車内で流域治水に関するクイズを楽しむなどしながら五ケ瀬町までの要所を見学した。

 このうち高千穂町では、日本の棚田百選に数えられる「栃又棚田」を訪問。山林に降った雨を蓄えて河川へ直接流さない「小さな治水ダム」としての役割や、落水口に調整板などを取り付け、水路や河川からあふれる水を抑制する「田んぼダム」の取り組みを解説。あいにくの天気だったが、参加者はメモを取るなどして聞き入っていた。

 入江教授は「河川改修には10年、場合によっては100年単位の時間がかかる。生活を守ることにつながる流域治水について、未来を担う若者が自ら考え、取り組む姿勢を持つようになってくれることを願う」と期待。

 地元以外の取り組みを学ぼうと参加した高千穂中2年の岩崎愛羽さん(14)は「畳堤(延岡市)が面白い取り組みだと思った。学んだことを地域のために役立てたい」、同じく橋本凛さん(14)は「ほかの地域の取り組みを知って地元の強みが分かった。今後の学びに生かしたい」と話した。

 一行はこのほか、延岡市の畳堤や霞(かすみ)堤なども訪ねた。

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