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建て替えや大規模改修を検討−延岡市クリーンセンター

本紙掲載日:2023-12-26
1面
建て替えが検討されているリサイクルプラザゲン丸館(手前右)と粗大ごみ処理施設(中央左)

整備検討委員会

 大規模災害で浸水する恐れがあり、一部施設の老朽化が著しくなっている延岡市クリーンセンター(長浜町)の対策を考える「延岡市廃棄物処理施設整備検討委員会」が21日に発足し、改修・建て替えの手法や費用面などについての協議が始まった。年度内に大筋の意見を示し、市が基本方針案をまとめる。

 クリーンセンターには、西臼杵3町からも可燃ごみ受け入れている「清掃工場」と、不燃ごみを含む「粗大ごみ処理施設」、缶・ビン・古紙・古布の資源物を処理する「リサイクルプラザゲン丸館」が同じ敷地内で稼働している。

 クリーンセンターによると、このうち清掃工場はもともと土地を1・2メートルかさ上げしているが、稼働開始した2009年の災害浸水想定が東日本大震災などで見直されたことにより、津波、洪水いずれのハザードマップでも最大で1・8メートル浸水する区域に該当。工場が停止すれば災害復旧への打撃も大きいため、早急な対策が求められている。

 また、粗大ごみ処理施設は稼働開始から39年が経過して建屋が著しく老朽化。さらに、年々、地盤沈下が進んで、ヘルストピア延岡側では1メートル程度も沈下し、処理施設は屋根が内側に沈下しているほか周辺地面との段差、コンクリート壁のひび割れも生じて、危険な状態となっている。

 ゲン丸館も28年が経過して老朽化が激しく、地盤沈下も粗大ごみ処理施設同様に発生。スチールやアルミの資源物圧縮機といった機械類も金属疲労など老朽化し、建物内に雨漏りも生じている。

 整備検討委は、大学教授や市民生活や防災に関わる各種組織・団体、関係業者の代表ら12人の委員で構成され、委員長には宮崎大学工学部の土手裕教授を互選。この日はクリーンセンター職員から現状説明を受けた後、清掃工場4階から各施設を視察し、どういった対策が考えられるかについて意見を交わした。

 清掃工場について職員は、国内約7割の施設が稼働16〜25年で延命化事業を実施し、宮崎市のエコクリーンプラザみやざきも17年目で着工したと報告。建て替えには270億円以上の膨大な費用と約10年の工事期間を要すると伝えた。

 一方、大津波からの被害を軽減する防水扉など浸水対策のみの場合は約5・8億円と試算。さらに、将来必要となる重要設備・機器の大規模更新など延命化措置を同時に進めると約81・6億円が必要という。

 粗大ごみ処理施設とゲン丸館はいずれも建て替えが必要との考えで一致し、それぞれ単独で実施するか、複合施設に建て替えるかを協議。建て替え用地は、現在使われていない旧管理棟を含む敷地を予定し、その際は旧清掃工場の煙突解体だけで約2億円を要することを確認した。

 クリーンセンターによると、いずれの工事を実施した場合も国からの交付金(対象事業の3分の1)が活用でき、市債による借入金も大半は返済の一部を国が負担する交付税措置(75〜90%)が適用されるという。

 各委員は協議内容を持ち帰り、来年2月予定の第2回検討委で大筋の方針を提案。それを受けて市が基本方針案を策定し、来年度中にパブリックコメント(市民意見)を募ることとした。

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