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「空飛ぶクルマ」試験飛行

本紙掲載日:2024-03-04
1面
試験飛行する「空飛ぶクルマ」(2日、九州保健福祉大学近く)
展示された「空飛ぶクルマ」に乗り込む来場者
試験飛行を見守る市民ら

無人と有人の両方で実施

◆災害・医療分野の活用目指す−延岡市

 延岡市が医療や防災の分野に導入を目指している「空飛ぶクルマ」の試験飛行が2日、関係者や市民ら約300人が見守る中、延岡市吉野町の九州保健福祉大学グラウンドで行われた。

 岡山県の一般社団法人「MASC(マスク)」が所有する2人乗りの中国製小型機「EHang(イーハン)」(高さ1・8メートル、幅5・6メートル)を使用。操縦士が乗らない自動運転で、無人飛行と実際に2人を乗せての有人飛行を試した。

 8基計16枚のプロペラが回転する「シューン」という静かな音と共に高度20メートルまで垂直離陸した機体は、さらに50メートルまで高度を上げながら大瀬川方面へ約200メートル、最高時速36キロのゆっくりとした速さで飛行。その後、空中に止まった状態で180度向きを変えて飛行し、離陸地点に垂直降下で着陸した。

 市民らはカメラ付きの携帯電話で撮影するなどしながら機体を見学。静かで、安定した飛行に驚きの声が上がり、機体が着陸すると拍手が沸き起こった。

 試験飛行終了後は、関係者や事前に体験イベントの申し込みを行っていた子どもたちが、グラウンドに展示された機体に搭乗。小さなモニターパネル以外にレバーやペダル、計器類などが全くない機内に驚いていた。

 市内から家族と見学に訪れていた会社員の興梠直人さん(44)は「ガソリンを使わず、騒音もなく、あれだけスムーズに滑空できることはすごい。ヘリよりも狭い所で離着陸できるので、いろんな現場で役に立つのでは」と期待。

 空飛ぶクルマのクイズに挑戦し、展示機に乗り込んだ内野絢太(けんた)さん(10)=西小4年=は「ドローンが大きくなった感じですごかった。飛んでいる姿を見てかっこいいと思ったし、実際に飛ぶ(実用化される)といいなと思った」と話した。

 また、試験飛行の前には講演会があり、専門家らが空飛ぶクルマに関する国内外の開発状況や機体の種類、事業化の動向などを紹介。また、関係者によるワークショップもあり、実用化された場合の可能性などについて意見を交わした。

 試験飛行を見守った読谷山洋司市長は「音が静かだしダウンウォッシュ(機体から生じる吹き下ろしの風)も小さく、ガラスの破片などが散らばる被災地救助への活用や、夜間も飛行できると実感した」と手応えを述べ、今後も異なる機体で実施したい考えを示した。

 詳細は、本紙へ。

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