２０２１新春インタビュー（１５）−川村義幸美郷町商工会長

イベントは町を明るく活性化

◆慎重に判断、関係機関と挑戦

−−新型コロナウイルスの影響について。

　全ての業界に影響が及びました。特に、緊急事態宣言が発令された４月以降のダメージは大きかったです。

　飲食業は歓送迎会が全て中止になり、売り上げが激減しました。３密の回避と外出自粛の要請に伴い、以前のようなにぎやかさはいまだに取り戻せていません。

　畜産は家畜の値段が、林業では材価が下がりました。卒業式などの式典は中止、あるいは規模が縮小され、花き業界を悩ませました。学校給食に食材などを納めていた商店なども、休校に苦しめられました。

　北郷の宇納間地蔵尊大祭、西郷の御田祭、南郷の師走祭りといった各地区の代表的な祭りをはじめ、さまざまなイベントも全て中止になり、収益を上げる大きな機会を失いました。

−−講じた対策とその効果は。

　事業者さんの売り上げを維持、向上させようと、国や町の支援金を活用し、町内の店舗で使える６千円分の商品券を５千円で販売する、プレミアム商品券事業に取り組みました。多くの町民の皆さまに利用してもらい感謝しています。

　商工業振興資金貸付事業では、運営資金や金融機関に借入金を申請する際のつなぎ資金の貸し付け限度額を５０万円から１００万円に上げ、無利子にしました。利用したのは数人でした。無利子と言えど返済は必要なので、課題が残りました。
　
　また、脱会者や廃業者を出さないよう支援金や補助金の制度の周知を徹底しました。店舗単位では、移動販売やテイクアウトをはじめ、事業所も自分たちでなんとかする努力をしています。

−−対策で生じた変化について。

　なるべく町内でお金を使おうとする動きが出てきました。そうなったことで、助け合いや思いやりの大切さが改めて分かり、絆が深まっていると感じています。

　一部の商工会青年部の会員の協力で行ったクラウドファンディング「みさとテーブル」も、「みんなで乗り切ろう、頑張ろう」という雰囲気を醸成するのに、大きな力となりました。

　高齢化と後継者不足の問題に拍車が掛かり、脱会者や廃業者が増えるのではと不安でしたが、なんとか乗り切れました。若者たちの力に加え、国や町の支援のおかげだと感謝しています。

−−新年の抱負を。

　脱会者や廃業者を出さないよう、経済を回していきたいです。そのために町と協力しながら祭りなどのイベントを開催できればと考えています。

　町は県内で最も高齢化率が高い自治体であり、実施には慎重な判断が必要です。しかし、金銭面の援助があった昨年とは違い、今年はいつまで体力がもつか分かりません。

　イベントには町の雰囲気を明るくし、活性化する役割もあります。非常に難しい問題ではありますが、町をはじめとした関係機関と一緒に挑戦しようと思っています。