「避難指示」に一本化

勧告は廃止−逃げ遅れ防止

◆２０日から新たな呼び掛け

　大雨などで災害発生の危険がある場合に自治体が発表する避難情報が、２０日から大幅に変わった。災害対策基本法の改正で、従来の「避難勧告」を廃止して「避難指示」に一本化。逃げ遅れによる被災を防ぐため、住民への呼び掛けを分かりやすくした。

　これまでは、勧告と指示の違いが分かりにくいとの課題が指摘され、勧告が出ても住民が逃げずに被災してしまうケースがあった。このため改正法では、大雨時に住民が取るべき行動を示す５段階の警戒レベルについて、上から２番目のレベル４に位置付けていた「避難指示（緊急）」と「避難勧告」を、「避難指示」に統一した。

　また、避難指示の前段となるレベル３の「避難準備」と「高齢者等避難開始」は「高齢者等避難」に一本化。避難に時間のかかる高齢者や障害者などを避難させる対象とした。

　最大級の警戒レベル５も、従来の「災害発生情報」を「緊急安全確保」に変更。すでに災害が発生・切迫して、避難すること自体が危険な可能性があり、直ちに身の安全の確保を呼び掛ける情報のため、発令を待たず、「避難指示」の段階で危険な場所から全員避難するよう求めている。

　一方、避難場所については新型コロナウイルスの感染拡大を機に、密を避けた〃分散避難〃の呼び掛けにも注力。避難は「難を避ける行動」だとして、安全な場所であれば移動する必要はなく、避難先も市町村が設置する指定緊急避難場所（学校や公民館など）だけでなく、親戚・知人方や安全なホテル・旅館なども検討するよう周知している。

　県北各市町村も避難情報の変更について、ホームページや広報誌などを通じて発信。このうち延岡市は「わが家の防災ハンドブック」に事前の確認事項を掲載しており、「避難場所には食料や寝具などはありませんので、避難をする際は非常持ち出し品を準備しておきましょう」と呼び掛けている。