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土呂久鉱害の歴史学ぶ

本紙掲載日:2021-08-09
8面
坑道「大切坑」の内部を見学する上野中3年生

上野中生が現地学習−高千穂

 高千穂町立上野中学校(岡田能直校長)の3年生13人はこのほど、校外学習として、かつてヒ素鉱害があった同町岩戸の土呂久地区を訪れ、住民の話を聞いたり、鉱山の坑道跡を見学したりしてその歴史を学んだ。

 旧土呂久鉱山は江戸時代初期、銀山として開発。1920年ごろから62年に閉山されるまでの間、ヒ素や亜ヒ酸などが製造された。製造による煙害などで、多くの住民がヒ素中毒とみられる症状で亡くなった。

 この日はまず、土呂久公民館で地元住民の講話に耳を傾けた。このうち、佐藤洋さん(79)は「亜ヒ焼きの煙は霧のような状態で川の方へと流れ、酸っぱい臭いがした。牛や馬にも被害があったと聞いている。今はそういう害はなく、鉱山の近くでは生えなかったシイタケも生えている」などと語った。

 この後、昨年3月に坑内整備工事が終了した「大切坑」に入り、町建設課職員の説明を聞きながら、坑口から535メートルの地点まで歩いて見学。また、地元の畜産農家を訪問、地域の産業についても話を聞いた。

 3年の西田睦さん(14)は「昔は鉱害の煙などで大変苦しい思いをしていたことを知った。二度とこういうことがないように環境を守らなければならない」と話した。

 宮崎大・地域連携センターの客員教授で土呂久鉱害の記録作家川原一之さん(74)=宮崎市=によると、町内の学校が現地学習を行うのは初めてで、「地元の子どもにこそ、この鉱害のことを知ってほしい」と話した。

 同校では今後も社会科の時間を使って、土呂久の持続可能な地域づくりについて考えるという。

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