オンライン成人式−五ケ瀬町

ネットで生配信し交流

◆「顔を見られてよかった」

　五ケ瀬町の第７３回成人式が１６日、町役場議場で行われた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、昨年（第７２回）は初めて中止したが、今年は出席する新成人を町内に在住する実行委員のみに制限して実施。町外の新成人や保護者らもインターネットの生配信で参加し、式後にオンラインで交流した。

　五ケ瀬町の成人式は雪が多い冬場を避けて、１９７０年からお盆時期の８月１６日に開催。昨年は中止後に開いた代替行事をオンライン配信して新成人が視聴するだけだったが、今年は来場できなかった人たちもネット上で互いに顔を見ながら会話できる場を設けた。

　今年の新成人は２０００年４月２日〜０１年４月１日生まれの８１人（男性４５人、女性３６人）。式では原田俊平町長が出席した７人に成人証書と記念品の五ケ瀬ワインなどを贈り、「ワクチン接種を進め、一日も早く全員参加できる日が来るのを望むばかり。皆さんにはいつか五ケ瀬を担うよう成長してほしい」と激励した。

　町議会の甲斐政國議長、五ケ瀬中等教育学校の鬼束雅史校長からの祝辞もあり、新成人代表の甲斐萌未（めぐみ）さんは「進む道はそれぞれ違いますが、五ケ瀬町で過ごし学んできたという誇りを胸に、社会を担う一員としてしっかりと生きていきたい」と感謝。出席できなかった新成人には今月中に成人証書と記念品を郵送するという。

　成人式の模様はカメラ撮影しながら同時配信。式後には三ケ所、鞍岡、五ケ瀬中等の出身中学校ごとにオンラインで結んだルーム（ネット上の部屋）を設け、互いに再会を喜びながら近況を報告し合った。

　このうち、実行委員は７人とも三ケ所中出身で、会場に設置したスクリーン越しにそろってやり取り。県外に進学した同級生や恩師らは自宅などからパソコンやスマートフォンを通じて交流した。

　恩師は一人一人に声を掛け、新成人が中学校時代に二十歳の自分に宛てた手紙を紹介。遠くは神奈川県や鳥取県にいる同級生も参加し、互いに手を振り合ったり、マスクを外した顔を確認しながら懐かしみ、「今すぐ帰って参加したい」「すごくみんなに会いたい」などと、コロナ禍の自粛に耐える素直な思いを訴えていた。

　町内から出席した新成人のうち、那須椋太さん（２０）は「成人式は地元にいる者が集まってやることが大事だと思っていた。来られない人はリモートだったが、一緒に参加できた気分になれた」。甲斐真利亜さん（２１）は「みんなで集まりたかったが、久しぶりに顔を見ることができてよかった。コロナが収まったらみんなでご飯とか行きたい」と期待を込めていた。