オール県北の対応を－コロナ対策緊急トップ会議

本紙掲載日：2021-09-01

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活発に意見が交わされた新型コロナウイルス感染拡大防止対策シンポジウム（延岡市医師会病院）

主要機関・団体予定時間を超過し協議－延岡市医師会

◆医療の連携だけでは限界－佐藤会長同じ方向を向き頑張りたい

　爆発的に感染が拡大する新型コロナウイルスへの危機意識を共有しようと、延岡市医師会（佐藤信博会長）が３１日に緊急のシンポジウムを開催し、市内主要機関・団体のトップが対応を協議した。会議は予定時間の２倍にも及び、熱心に議論を深めた。

　夕刊デイリー新聞社の松永和樹社長の司会で進行。延岡市内の医療機関や行政、地域団体の代表ら１９人が臨席、日向市と門川町の関係者４人もオンラインで参加し、地域医療の現状やワクチン接種の進め方、在宅療養の課題などについて意見を交わした。

　このうち、保健所や医療機関、療養施設などとの橋渡し役を務めている県新型コロナウイルス感染症対策調整本部特任医師で同感染症コーディネーターの佐藤圭創医師は、県北地域の医療現場について、「医療関係者だけでは維持できない状況になってきている」と危機感を訴えた。

　第５波の到来を予想して備えてきたものの、指定医療機関や協力医療機関はほぼ満床状態で、増加する自宅療養者の中には若くても容体が急変するケースが見られると、デルタ株の脅威を説明。急速に感染が広まる中でも６０代以上は感染者や重症化率が極端に少ないとして、ワクチン接種が抑止の鍵になると強調した。

　県福祉保健部の重黒木清部長も、デルタ株がこれまでには考えられなかったようなわずかな接触場面で感染拡大し、飲食店への時短要請などだけでは抑えられなくなっていると指摘。自宅・施設療養者の対応が急務となるなど、医療状況がさらに深刻な段階へと移っている状況を報告した。

　延岡保健所の救仁郷修所長は、延岡地区では自宅療養者の数を抑えられているなど、医療機関の強い連携態勢を称賛。ただ、学校再開による今後の感染拡大を懸念し、入院療養先の集約化や重点化の必要性を提案した。

　県立延岡病院の寺尾公成院長は、県北の中核病院としてこれまでのコロナ対応で幾多の危機を乗り越えてきた経緯を振り返りつつも、「医療の連携だけでは限界。奈落の底に落ちていきそうだ」と、この日も重症者対応に追われたことを報告。新たな変異種の拡大も視野に、社会全体の「ワンチーム」で地域医療を守る体制づくりを切に求めた。

　在宅医療に力を注いでいる延岡市医師会理事で大貫診療所院長の榎本雄介医師は、新型コロナ感染防止の面会謝絶などにより一般患者も入院を望まなくなり、在宅療養者が増え、自宅で亡くなるみとりも激増していると説明。新型コロナと診断した場合に保健所を通していると時間経過で容体が悪化するとして、医師がその場で治療できるよう、現制度の変革を訴えた。

　これに対しては県済生会日向病院の林克裕院長も、抗体カクテル療法が非常に有効だとして賛同。新型コロナの感染症指定分類を、現在の第２類からインフルエンザなどと同等の第５類に緩和できないかと求めた。

　ワクチン接種に関しては、旭化成延岡支社の米田昌樹延岡総務部長が、延岡・日向地区の従業員や派遣従業員ら約６千人を対象に、今月中にも職域接種を実施する計画を紹介。民間企業だけで大量のワクチンを管理する困難さを語り、将来的に自治体の接種と連携するなど負担の少ない手法を探っていきたいと期待を込めた。

　このほか、県看護協会や薬剤師会、市長、区長連絡協議会など、さまざまな立場からも意見が上がり議論は白熱。延岡市医師会の佐藤会長は今後も続く新型コロナ対応に向け、「オール県北で立ち向かわなければならない。まだしばらくかかるが、心が折れないよう、みんなで一致して同じ方向を向いて頑張りたい」と力を込めた。

（本紙は要旨を２日以降に掲載。市医師会は同シンポジウムの録画を後日、インターネット配信する予定）

◆決議書を採択

　シンポジウムの最後には、関係機関が連携して感染の拡大を防止し住民の生命を守るための決議書を、全会一致で採択した。決議書は次の通り。

①関係機関は連携して、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止を図るための取り組みを強力に推進する。

②コロナワクチン接種を推進し感染のリスクを軽減するとともに、集団免疫力を獲得するため、関係機関は連携してワクチンの確保から集団接種、個別接種、職域接種など、あらゆる機会を提供して、希望する住民にワクチン接種の
促進を図る。

③関係機関は連携し、医療崩壊を招くことがないよう、受け入れ医療機関ならびに宿泊療養施設への支援協力を行う。

④関係機関は住民が新型コロナウイルス感染症やワクチン接種について、正しく認識できる適切な情報提供を行う。