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県内の新型コロナ・8月の感染者2259人

本紙掲載日:2021-09-02
1面

日向市145人、延岡市120人、門川町79人

◆デルタ株猛威、累計の約4割−会食、家庭内・全員が陽性

 全国的にデルタ株が猛威を振るった8月。県内では、家庭・親族内感染、会食や事業所でのクラスターが相次ぎ、2259人の感染が判明した。これまでの累計5497人の約4割が8月に感染したことになる。市町村別では、宮崎市が全体の57%(1291人)を占めたが、県北でも日向市145人、延岡市120人、門川町79人と計356人に上った。

 県によると、これまで1カ月の感染者で最多だったのは今年1月の1050人。「歴史的危機」とした第3波の真っただ中だった1カ月間の2倍以上の感染者となった。

 県北では、関連感染者が45人となった門川町の教育保育施設のほか、日向市と延岡市の事業所で5人が感染するクラスターが発生。門川町在住の感染者の多くがクラスター関連だったが、日向・延岡両市は家族、親族間などの感染が目立った。そのほか、高千穂町8人、美郷町2人、五ケ瀬町と日之影町が1人ずつだった。

 8月の感染者を年代別で見ると、20代が全体トップの24%で543人。40代が396人(17・5%)、10代が385人(17%)で続く。10歳未満も177人(7・8%)など、50代以下が全体の約92%を占めた。一方で70代以上は77人と全体の3%で、ワクチン接種の促進で重症化しやすい高齢の感染者は激減。基礎疾患のある60歳以上の6人が亡くなったが、死者は1月(12人)の半分だった。

 感染者数100人超が計11日もあった感染急増の背景には、感染力が強いデルタ株に置き換わったことがある。

 7月下旬と9月1日を含めると、40例のクラスターが発生。これも累計(90例)のうち、4割以上が約1カ月の間に確認された。

 県感染症対策室によると、第4波までは、クラスターの輪の中の濃厚接触者でも陰性となる人は一定割合いたが、8月下旬の西都市の飲食店では13人、西諸圏域の知人間の会食では10人と参加した全員が陽性となった。

 同じように、発表はされないが、家庭内感染でも家族全員が陽性となる事例が多かったという。

 また、保健所の聞き取りに感染対策には万全を期していたと答えた事業所でクラスターが発生するなど、デルタ株の感染力の強さは県内の多くの事例から見て取れた。

 8月31日時点で直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は58・5人など、70人台が連続し過去最悪の水準だった同27日までの1週間よりは減少傾向になりつつある。

 だが、医療提供体制への負荷を表す病床使用率は1週間から10日前の感染者数を反映するため、同30日時点で50・5%と過去最多になり、同31日も48・2%と国が「医療提供体制が機能不全への対応が必要」とするステージ4の目安(50%)に近い水準となっている。

 また、重症者数も同31日時点で、過去最多だった1月24日の10人に迫る8人となっている。

 県感染症対策室の有村公輔室長は「感染後、1週間ほどで悪化し、入院が必要となる例も多い。感染者数は一進一退の様相で、仮に減少傾向となっても医療への負荷はまだまだ継続する」と語る。

 県は12日まで独自の緊急事態宣言を発令中で、宮崎・日向市、門川町を国のまん延防止等重点措置の対象地域に指定。県民へ会食の制限など多くの行動要請を行っている。

 同室は「一人ひとりの感染防止対策の徹底を」と繰り返し訴えており、有村室長は「大人数の会食や職場でのクラスターが連続して確認されている。新型コロナの主な感染経路は飛沫(ひまつ)。マスクを外す機会、特に会食に注意を続けてほしい。また職場でも休憩時間など居場所が切り替わったときも油断せず、マスク着用の徹底を」と呼び掛けている。

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