桜ケ丘に希みあり（１）－延岡商業高校創立１００周年

本紙掲載日：2021-11-02

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現在地に独立校として開校した当時の写真。校舎は平屋建てで１棟のみが２階建て。周りには何もなく、生徒、職員は整地、除草作業に追われた

創立時は郡立延岡商業学校

◆１００年の歴史、卒業生は２万１４７４人

　延岡商業高校は１９２１年４月、東臼杵郡立延岡商業学校として現在の延岡市役所の位置にあった延岡尋常小学校の校舎を借りて開校。修業年３年、定員１５０人の乙種商業学校としてスタートした。

　翌２２年には修業年５年の甲種商業学校となり、２３年２月、恒富村三ツ瀬（現在の旭町、サンボウル付近）に念願の校舎が落成。同４月には県に移管、県立延岡商業学校に改称された。

　しかしその後、何度も校名や所在地の変更を余儀なくされる。３３年６月には日本窒素肥料に校地校舎を譲渡。代わりに校舎を受領し、現在旭小がある中川原に移転。戦時中の４４年４月には「教育に関する戦時非常措置方策」により工業学校に切り替えられた。翌年、空襲で校舎を焼失した。

　戦後の４８年には学制改革で県立岡富高校に、４９年には同校廃校で県立恒富高校に統合される。５０年４月、県立延岡向洋高校（現・延岡工業高）の創立に合わせ分離統合。商業科は１学年定員２００人だった。

　商業高校独立の要望が強くなると、市は校地１万坪を無償提供することで県立校の計画を立て、戦時中は実弾射撃場だった現在地を準備。５８年４月、待望の独立校が復活した。当時は１学年定員が５学級２５０人。１回生は入学時、向洋高校の校舎を間借りし、夏休みを利用して新校舎に引っ越した。ただ校舎の周りには土砂が積み上げられ、生徒は整備に追われたという。

　初めて３学年がそろった６０年に入学した髙田哲碩さん（７６）＝栄町＝は「学校には作業に来たという感じだった」と振り返る。校舎以外は未完成で、体育の時間は運動場にせり出した山を崩しては竹製のモッコに土を乗せ運んだ。「立てばつるはし（またはスコップ）、座れば草取り、歩く姿はモッコなり」の〃名言〃も誕生したほどで「土木科」と言う人さえいたという。卒業式は「８割型完成していた」という体育館で実施。新制１回生が入学時から、全校生徒で積み立てた費用で建てられた。

　当時は一面に田が広がり、雨が降るたびに一帯が水浸し。校舎が水面に白く反射し、校歌の一節のようにまさに「白亜の校舎光あり―」の光景だったという。その学校周辺も６０年以上がたった現在、住宅地が広がる。

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　県立延岡商業高校は今年、創立１００周年を迎えた。県北の商業教育の名門校としてこれまでに２万１４７４人の卒業生を輩出。現在は商業科、会計科、流通経済科、経営情報科に４２９人が在籍する。６日の式典を前に、これまでの歴史と今後を見つめる。

（タイトルは校歌から抜粋。題字は流通経済科３年の後藤きららさん）