桜ケ丘に希（のぞ）みあり（５）−延岡商業高校創立１００周年

地域創生、提案から実践へ

◆３年間の学び、広がる活躍の場

　「延岡を出たくないと思えるように魅力を発信したい」「考える力、行動力を身に付けたい」―。今年４月、商業科３年の課題研究の授業。地域活性化に取り組む班の生徒たちは、外部から招いた大人や友人と意見を交わし、思いを誓った。生徒の一人は「延岡がもっと好きになった。実行に移せるようにしたい」と声を弾ませた。

　同校は来年４月の入学生から、商業科、流通経済科、会計科は「商業マネジメント科」、経営情報科は「情報ソリューション科」の２学科に改編。２年生からはそれぞれ３コースと２コースに分かれる。

　その一つに地域創生コースもある。これまで授業の一環で地域活性化について考えてきたが、より具体的に観光の振興や地域社会における問題解決に必要な資質、能力を育成。冒頭の授業を担当する前田千明教諭（３７）は「地域創生は商業科で外せないキーワード。提案で終わるのではなく、実践まで移すことが大事」と強調する。

　　　　　　　　　▽　　　　　　　　　　▽

　創立１００年、現在地に独立校として開校して６３年。さまざまな変化があった。男子ばかりだった商業学校時代から、現在地に開校時は男女半々、一時は女子校かと思われるほど男子が少なく、今は男子約３５％、女子約６５％。

　初任時も勤務した鳥越浩二教諭（６０）が「１年生で３級を取るため、指の太い柔道部の生徒が隣の玉をはじきながらも必死に勉強していた」というそろばんの授業は、時を経て電卓に変わった。

　就職する生徒がほとんどを占めていた時代から、現在は就職と進学が半々になったが、「３年間で十分と思える、卒業後に稼げる力を身に付けられる」と前田教諭。新学科では現代に必要不可欠な情報発信にも力を入れ、ＳＮＳやＹｏｕＴｕｂｅなども授業の中で学んでいく予定だ。

　地域とのつながりもさらに深める予定で「地域あっての本校」と大迫良三校長（６０）。「課題解決につながる視点を持った生徒の育成を行いたい」と話す。教職時代の半数を過ごし「母校みたい」という鳥越教諭も「延岡の街で貢献できる、地元が求めている人材を提供できる、地域に貢献できる学校であり続けてほしい」と願う。

　県北の商業教育の名門として卒業生は幅広い産業分野で活躍してきた。大迫校長は「全ての産業分野で活躍できるのが商業高校の学び。３年間で学んだビジネス的な感覚、視点に社会で身に付ける技術で活躍の場面は広がる」と胸を張る。

　１００周年のキャッチコピーは「桜華（おうか）青春輝く延岡商業百周年―咲き誇れ永遠に延商生伝統と学びを糧に―」。築き上げた伝統、学びを力に、これからも咲き誇る。

　延岡商業高校は６日午前、創立１００周年記念式典を行った。

（タイトルは校歌から。題字は流通経済科３年の後藤きららさん）