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所蔵の書画を寄託へ−延岡の豪商・谷家

本紙掲載日:2021-11-16
1面
びょうぶを鑑定する福岡市美術館の中山喜一朗総館長(右手前)と市の増田専門学芸員

延岡城・内藤記念博物館に

 江戸から明治にかけて回船業などで財を成した延岡の豪商・谷家が所蔵する書画が、来年9月に開館予定の「延岡城・内藤記念博物館」に寄託されることになった。延岡市文化課は「商家の暮らしぶりを知る貴重な資料であり、美術品としても価値が高い」とし、企画展などで公開する方針だ。

 谷家5代目当主の谷仲吉さん(76)=同市北小路、藤仲興産社長=によると、所蔵する書画は洋画を含めて約240点。この中から寄託する作品を選ぶ作業が11、12日、谷家の歴史資料を保管する市内の倉庫であった。

 監修したのは日本近世絵画が専門の中山喜一朗・福岡市美術館総館長。谷さんや市文化課の増田豪・専門学芸員が立ち会い、梱包(こんぽう)を解いた書画を1点ずつ丁寧に見ながら郷土ゆかりの作品を中心に選定した。

 結果は整理中だが、最終的に寄託するのは延岡藩の絵師岡部南圃による六曲一双(ろっきょくいっそう)のびょうぶや歌人若山牧水、詩人野口雨情の掛け軸など80〜90点になる見込みという。

 「ほとんどが江戸時代後期から明治にかけての書画だが、中には江戸初期もある。その質、量は普通の商家に伝わったとは思えない。これほどの書画をいい状態で保存していた事も素晴らしい」と中山総館長。

 寄託については「一般の人が見られない品々を公的機関で展示・公開し、みんなが楽しむ機会を設ける事も大切。その手伝いができてうれしい」と話した。

 延岡城・内藤記念博物館は、老朽化した旧記念館を取り壊して天神小路の跡地に建設している。旧施設の倍以上の広さがあり、市は重要文化財の公開にふさわしい設備や体制を整えた「公開承認施設」を目指す考えだ。

 谷さんは「博物館に寄託することでこれまでしまい込まれていた書画が文化財として日の目を見る事になる。ぜひ大勢の人に見てもらいたい」と話していた。

 谷家は金銀貨などの貨幣や能楽資料約8000点を九州国立博物館に寄託しており、これらは国の登録美術品となっている。

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