発足から５年－のべおか道の駅株式会社

本紙掲載日：2022-01-04

8面

「コロナ言い訳にせず」飛躍誓う

◆高木社長に聞く

　延岡市内の道の駅「北川はゆま」「北浦」「北方よっちみろ屋」の３施設を管理運営する「のべおか道の駅株式会社」が、発足から丸５年を迎えた。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中にも活路を見いだし実績を上げている髙木亨輔社長に、新年に懸ける意気込みを聞いた。

――昨年はどのような１年でしたか。

休業を余儀なくされた一昨年ほどではありませんが、引き続き新型コロナの影響を受けました。県外客が動かないことが大きいわけですが、それぞれの道の駅によって状況は異なります。
北川はゆまは交通の要所のため、県外客が動かなかった影響を最も受けました。北方よっちみろ屋は市内からのお客さまが野菜や果物などを買いに来られるので北川ほどではないにせよ、日中・日韓関係が悪化した２０１９年１０月から高千穂を中心とする海外客が激減し、コロナ禍が追い打ちとなりました。
その一方で北浦は、ケビンやテント村が新しくなり、一昨年のような休業要請もなく、飛躍的に売り上げが伸びました。レストランも含めた新しい取り組みで好影響が出て、北川はゆまの減収をカバーできるほどではありませんが、前年度からはやや改善できそうです。
それでも赤字に変わりはなく悩みの種ですが、いつまでもコロナの影響と言っているのも嫌ですし、コロナによって私たちも変わらなくてはいけません。

◆ウィズコロナで業績アップへ

――どのように変化していく必要があるのでしょうか。

新型コロナと付き合いながら業績を上げていかなければなりません。そのことをもっと考えていく必要があります。
これまで頼りにしていた県外客やビジネス客はコロナ禍でかなり減りました。出張がなくなったことによりお土産が買われなくなった影響は大きく、これからも確実にビジネス客は減っていくとみています。
観光客は団体がかなり減りますが、少人数の旅行は増えるのでコンセプトを変えなければいけません。北川はゆまであれば、県内客を考えた品ぞろえに力を入れていきたいと考えています。
これまでのように箱菓子のお土産を置いていても買ってもらえません。宮崎の人に買ってもらえる宮崎の商品、同じ千円でもそれ以上に価値のある商品を、自分たちで足を運び、自分のお金を使って見つけていきます。

――今年の取り組みを教えてください。

まず、道の駅北浦はケビンやテント、オートキャンプ場などの宿泊部門をもっと掘り下げていきます。キャンプ用品やベッドなどを備え、ゆったりと楽しめるグランピング化をさらに進めるとともに、学生や合宿など低料金の利用にも対応します。
レストランは岩ガキや伊勢エビなどの時期になると毎年、リピーターのお客さまに来てもらえるようになりましたが、そうした時期だけでなく毎日行列ができるようなメニューを開発していきます。
売店は海の幸に特化し、冷凍・冷蔵ケースを増やします。宮崎だけにこだわらず、例えば業者とタイアップして北海道や東北のフェアを開くなど、年間を通して「道の駅北浦に行けば何かある」というふうに、出掛けたついでに立ち寄るのではなく目的地にしてもらえるよう頑張ります。
北川はゆまは新しい商品を取り入れていこうと、県内からおいしい物、買っていただきたい物を、足を使って探し、少しずつ店頭に並べ始めました。
小さなお店ですが日向市の洋菓子店から商品を発送していただいたり、川南の落花生は昨年売り切れたりしたのでさらに数量を確保したいと思っています。美郷町西郷の栗や栗きんとん、栗おはぎも「はゆまで買える」と人気が定着しました。
新しくなったトイレをはじめ、今春予定のリニューアルオープンではレストランの座席も増え、駐車場も広く使えるようになります。県民や地元の方に喜んでいただける道の駅づくりに努めていきます。
北方よっちみろ屋は自然薯（じねんじょ）やシイタケをはじめとする農産物、次郎柿や桃などの果物が多く入ってきます。そうした生産者のために、道の駅を流通の拠点にして、延岡以外の地域にも売っていこうと思います。
すでに宮崎や都城へ生産物を配送した実績はありますが、さらに拡大して生産者の収入アップにつなげていきたいと考えています。地域貢献はわれわれの役割でもあります。

◆便利さ追求、スーパーのような存在に

――より地域に視野を置いた経営ということになりますね。

われわれは、近隣のお客さまを大切にしたいと考えており、特に道の駅がある三北（北川・北浦・北方）の人たちにとってのスーパー的な存在にもなれればと思っています。
総菜や弁当、豆腐、漬物など身近な商品の品ぞろえをますます充実させていきます。スーパー業界では商品に占める総菜の比率が最大となっています。時代が変わる中で自分たちも変わっていかなければなりません。
近隣の人たちに便利な道の駅づくりは、われわれの義務ではないでしょうか。後追いではなく少しでも先取りできるよう頑張っていきます。

――今年の抱負をお願いします。

コロナを言い訳にせず、飛躍の一年にします。私はのべおか道の駅を立ち上げた時に、「九州一の道の駅にしよう」と目標を掲げました。売り上げもそうですが、「行ってよかった」と思ってもらえるような接客や清潔さ、居心地のよさをつくっていきたいと思います。大変ですが、大変だからこそやりがいがあるものです。

【プロフィル】（たかぎ・こうすけ）日向市出身。１９４６年生まれ。富高高校、香川大学を卒業後、高木商店（現マルイチ）に入社。専務取締役を経て６０歳で退社。その後、都城市内のスーパーの専務、鹿児島県のスーパーで相談役を務め、２０１６年から道の駅北浦を運営する北浦総合産業顧問を歴任。１７年に「のべおか道の駅株式会社」の代表取締役に就任した。延岡市南一ケ岡在住、７４歳。