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固定観念からの脱出−発明の発想力

本紙掲載日:2022-01-13
8面
小木さんの話に耳を傾ける生徒ら(延岡工業高校)

延岡工高生、知的財産について学ぶ

 県立延岡工業高校(安楽耕三校長)と延岡市工業振興課はこのほど、同校の生徒に向けた「知的財産に関する学習」を実施し、弁理士の小木智彦さん(ソシデア知的財産事務所)=宮崎市=が特許権や意匠権などについて解説した。日本弁理士会九州会共催。

 小木さんはパソコン操作に使われるマウスを例に挙げ、パソコン本体のメーカーとは別会社の商品が売れている点に注目。売れ筋のマウスが評価されている無線技術は特許権、デザインは意匠権で保護され、他社が勝手にまねできないとし、これらの権利は売り上げに直結すると説明した。

 特許権が設立する条件は「実現性と進歩性」で、身近な商品では餅で包んだアイスや、繁殖牛の発情期を歩き方で察知する機器、音楽と映像に合わせてたたき方を変える太鼓のゲームなどを紹介。漫画のドラえもんに登場する未来の道具は実現性に乏しいが、再現しようとする大学生らの映像を見せて、「アイデアを持ち続ければ実現する」とエールを送った。

 発明に向けた発想力を試そうと、生徒は小木さんの指導で「延岡から北海道への行き方」を思い付く限り発表。徒歩や車、自転車、泳ぎ、ヘリなど次々と答えたが、小木さんはそれらが交通手段という一つの方向性でしかないと指摘し、「○○しながら」「○○と一緒に」といった動作や、身に着ける物、経由地、「国道のみ」など手段も交えて幅広く考えることが大切だとアドバイスした。

 その上で、「固定概念からの脱出こそが他人が生み出さない知を見つけるコツ」「他人が思い付かないオンリーワンこそ価値がある」と話し、「オンリーワン+ニーズが最強」と強調。旭化成の創始者・野口遵こそ「強いニーズに応えオンリーワンを築いた偉人」だとして、功績を改めて振り返った。

 小木さんは特許法など法律知識を生かしながら発明に携わる弁理士の魅力や、今の仕事を選んだ理由も紹介。普段の生活の中で何となく他人よりも得意だったり楽しいことの中から仕事を見つけてはどうかと提案した。

 学習会には情報技術、機械、生活文化の各学科から1年生40人ずつが参加。情報技術科の岩切聖真さんは「知識や知恵がどれほど重要で、それがなければ社会も発展しなかったことが分かった。僕ら高校生はもっと生み出せるものがあると思うので、それらを大切にして社会に貢献していきたい」と話した。

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