迫る市長選−延岡市の課題（４）

安全・安心−心配な登下校時の事故

◆土々呂町国道１０号−朝夕、慢性的な渋滞

　登校する児童生徒のすぐ横をひっきりなしに通り過ぎて行く自動車。道路によっては歩道やガードレールがなく、児童生徒と車の間隔は２メートルと離れていない。接触しそうなほどの近さに感じられる。

　塩浜町から土々呂町にかけての国道１０号では朝夕、慢性的な渋滞が発生。主に地区外から流入する車が多く、その渋滞を避けようと旭ケ丘や一ケ岡、伊形町で幅員の狭い県道や市道を通る車も少なくない。同町に住む５０代男性は「速度を上げて走る車もあり、ヒヤッとすることが多い」と話す。

　千葉県八街市で昨年６月、下校中の児童の列にトラックが突っ込み、５人が死傷する事故が発生したことを受け、文科省、国交省、警察庁の３省庁は全国の都道府県教委を通じて市町村教委などに通学路の合同点検を通達。「見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など、車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所」などの点検を求めた。

　延岡市教委を中心に道路管理者など関係機関が市内全域で合同点検を実施した結果、１３６カ所の危険箇所を確認。危険理由の中には「交通量が多く、信号待ち時が危険」「幅員が狭いが、交通量は多い」「歩道が整備されていない」などもあった。

　市南部地区では昨年６月、伊形、一ケ岡、土々呂各地区区長会長や地区内４小中学校のＰＴＡ会長で「南部地区の渋滞解消及び安全・安心促進期成会」（稲吉悦夫会長）を発足。地区内の生活道路、通学路などの渋滞解消、安全性向上を図るため、国道１０号延岡南道路の利用促進や国道１０号の慢性的な混雑解消を目指して要望活動を行っている。

　２０２０年３月、延岡南ＩＣに料金所が設置され、延岡南道路のＥＴＣ搭載車通行料金が新体系に移行。特に大型車の通行料が大幅に引き下げられ、延岡道路と延岡南道路の連続利用が促されて南部地区の安全向上は図られているが、生活道路を通る普通自動車や軽自動車などは依然多い。稲吉会長は「１０年の高速道路利用無料化社会実験で、南部地区の交通量が大きく減った。朝夕の渋滞や混雑の問題解決には延岡南道路の利用促進が現実的」と話す。

　市は、ポストコーンを設置したり路面標示を設置するなど、市内各所の市道で危険箇所の対策を進める。住民の安全安心を守りながら、各所の課題解消に向け、国、県、近隣他市町などと連携した対策も求められる。