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巨典の−−故郷は遠きにありて思うもの(11)

本紙掲載日:2022-02-22
8面

実はアートな街、福岡市内にたくさんの作品−ビルの巨大壁画、通学路にアンパンマン

◆「神楽」はアートの域に−地域の表現力・発信力に磨きを

 正月太りのため現在、ダイエット中の高橋巨典です。

 これ以上太ると、番組の衣装を担当してもらっているスタイリストさんに迷惑が掛かると思い、今は食事の量を減らして、老体にむち打ち、ランニングに励んでおります。

 ゆっくり走ってみると、福岡市には、たくさんのアート作品があることに気が付きます。実は、福岡はアートな街なのです。

 中でも面白いのはストリートアート的なもの。ストリートアートは、都市空間や路上などの公共空間で行われる美術的な表現のことを言うそうですが、無許可の落書きとは全くの別物であることは言うまでもありません。そして、走りながらアート作品を見つけた時の喜びはなかなかに大きく、走る楽しみの一つともなっています。

 まずは、中央区にある鳥飼八幡宮。創建は1700年前という歴史ある神社で、縁結びの神様としても有名です。

 近くまで走ってきたので、お参りするかと拝殿で手を合わせた後にアートを発見。「何じゃこりゃ!?」

 神社の参集殿と物置の壁に描かれたアートには、すさまじいエネルギーがあふれていました。社務所で話を聞くと、宮司さんの親戚に当たる芸術家が描いたとのことでした。

 「よく許可したもんだなぁ」と思いますが、この鳥飼八幡宮は境内でマルシェ(市場)を開催するなど、とってもオープンな神社としても知られているようです。ちなみに、過去には境内で水着のモデルさんにボディーアートを施すイベントも行われたそうです。見たかったなぁ…。

 そして、鳥飼八幡宮の近くの民家には、人気アニメ「アンパンマン」などのキャラクターが道路側の庭にずらりと並んでいました。お庭にいたご主人に話を聞くと、小学生の通学路になっていることから、コロナ禍の子どもたちに少しでも元気を出してもらいたいと描いているそうです。こちらは、地域の子どもたちを温かく見詰めるアート作品でした。

 一方、こちらは中央区の港。名前の通り、漁船やプレジャーボートの港がある最近、人気の街です。ここには何と、巨大壁画が!

 発見した時は本当に驚き、しばらく立ち尽くしてしまいました。ビルが丸ごと作品になっているのです。しかも2棟も。その大きさと、迫力と、技術に圧倒され、古びたビルが見事に輝きを取り戻しているように感じました。

 さて、アートというものは、街や暮らしからはかけ離れたもの、高尚なものと思う向きもあるのかもしれません。しかし、実は私たちの社会や生活に深く結び付くものだと思います。

 地域づくりや、まちおこしにもアートは欠かせないでしょう。なぜなら、何かを創造したい、何かを発信したいと思うことが、すでにアートだからです。となると、街で活動する人は、全員がアーティストという肩書になってよいのではないでしょうか。

 あの「神楽」は、長い伝統に培われて素晴らしいアートの域に達したことで、世界へ情報発信できたのではないかと私は考えます。

 延岡の街に、西臼杵に、日向に、東臼杵に、アーティストが増え、地域の表現力・発信力に磨きが掛かれば「県北の未来には一点の曇りもなくなる!」はずだと私は確信します。


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