最期まで自分らしく－在宅医療、浸透してほしい

本紙掲載日：2022-03-24

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済生会日向病院の髙石内科医長を迎えて開かれた地域医療講演会

済生会日向病院髙石さんが講演

　日向市と、市民団体の日向市の地域医療を考える会（那須久司会長）はこのほど、市文化交流センターで地域医療講演会を開いた。済生会日向病院内科医長の髙石真那斗さんが講師を務め、「わたしの人生、最期までわたしらしく～元気なうちから知っておきたい日向市の在宅医療」をテーマに話した。ウェブ会議システム「Ｚｏｏｍ」（ズーム）を使い、オンラインでも中継した。

　講演会は、地域医療について理解を深めてもらおうと毎年開催。昨年はコロナ禍で中止となったため、２年ぶりに実施した。

　開会行事で、十屋幸平市長は「限られた医療資源を守り育てるために、私たちがどのような役割を果たし、向き合っていくかについて考える契機にしてほしい」。那須会長は「コロナ禍の影響もあり、日ごろから在宅医療と付き合っていく必要が高まっている。在宅医療への理解を深めてほしい」とあいさつした。

　髙石さんは、訪問診療の主な対象者について、認知症の高齢者や重症心身障害児、がん患者など一人で通院が困難な人と話し、医師、看護師、薬剤師、リハビリセラピストなど他職種連携で支えるため、治療への心配は不要と説明した。

　点滴や注射、緩和ケア、酸素吸入、みとりなど入院で行う治療の多くは自宅でも可能とし、「自宅で日常生活を続けながら治療をする『ときどき入院、ほぼ在宅』の生活が一番良いと思う」と伝えた。

　訪問診療を始めたい時は「ケアマネジャー、かかりつけ、訪問診療を行っている医療機関に相談してほしい」と話し、「在宅医療は通院よりは医療費などがかかるが、入院するよりは安くなる」と解説した。

　また、死亡場所に関するデータなどを示しながら、「自宅で亡くなることは特別なことではないが、日向市は自宅などで亡くなる人が少ない。在宅医療の遅れが原因の一つかもしれない。日向市でも在宅医療が浸透してほしい」と語った。

　結びに、いざという時には約７割の人が自分で意思決定ができない状態になっていると指摘。「元気なうちに人生会議をしてほしい。もしもの時に自分が望む医療、ケアなどについて家族などと思いを共有してください」と呼び掛け、日向市版のエンディングノート「ドリームブック」などを紹介した。