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門川町長選選挙企画−門川町の課題

本紙掲載日:2022-04-08
1面
新庁舎4階から一望できる門川町の中心部。海岸部の津波対策、旧庁舎跡地の活用など課題は山積している

津波対策、担い手不足、観光…

◆山積する課題問われるリーダーの手腕

 「近所は私より年配の高齢者ばかり。1人暮らしも多く、もしもの時、避難を手助けしてくれる人もない」と話すのは、漁港に面した尾末・納屋地区に暮らす70代女性。

 想定される南海トラフ巨大地震の門川町への津波の高さは最大12メートル。到達時間は最短16分で、海岸部の居住地域へは20〜30分で到達すると予測されている。

 これまで町は、到達時間内に徒歩で逃げられる目安の距離・半径500メートル以内に高台があるとして「町内に津波避難タワーの建設は必要ない」との認識を示してきた。同地区に3カ所ある高台は海抜12〜13メートル。別の70代男性は「そもそも(避難場所としては)低すぎるのでは」と指摘する。

 町は今後、高齢者や障害者ら要配慮者を、高台に避難させるための支援体制の構築に取り組むとしているが、住民は不安を拭えないでいる。

 高齢化によって、町の基盤となる第1次産業の担い手不足も深刻化している。例えば、町内2漁協の組合員数は2003〜20年の17年間で310人から160人に激減。町は新規就業者の船舶免許取得費用の補助や、魚礁などの設置による資源の増殖増大などに取り組んでいるものの、魚介類消費量の減少や魚価の低迷など取り巻く環境は厳しい。

 担い手不足の一因に、若者の流出も影響している。町の中心部で商店を営む40代男性は「(日向市と延岡市の)ベッドタウンから脱却し、働く場の創出に力を入れるべき」と話す。その拠点として動向を注視しているのが、旧庁舎跡地の活用。町は今後の方向性について、先月策定した「町庁舎跡地活用基本構想」で公民連携の可能性を示している。

 また、豊かな自然環境を生かして観光客をどう呼び込むか。そのシンボルである乙島の施設整備が、このほど1億5千万円を掛け、ひと区切り付いた。町はシーカヤック体験などと組み合わせた滞在型観光にも取り組んでいるが、観光客数は年間300人程度にとどまっている。

 公共施設である「かどがわ温泉心の杜(もり)」の経営も厳しい。入館者の減少による収入減や、施設の老朽化による修繕費の増加に加え、コロナ禍で状況はさらに悪化している。そのため町は昨年11月、町内各団体の代表者らで構成する経営改善委員会を設置。現在、改善策などについて議論を重ねている。

 開通から5年を迎えた東九州自動車道・門川南スマートインターチェンジや、日向市・細島港へのアクセスの良さを生かした産業拠点の整備も求められるが、事業化には大きな決断が必要。

 山積する課題をどう見極め、優先順位を判断し解決していくのか、新たなリーダーの手腕が問われる。

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