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アカウミガメの上陸、産卵回数−過去最低レベル

本紙掲載日:2022-04-26
1面
県、沿岸自治体関係者や調査団体が集ったアカウミガメ連絡協議会
延岡市長浜海岸に上陸し産卵したアカウミガメ(2012年5月24日、延岡市教委提供)

21年度の県内調査−延岡の3海岸、日向も

◆全国的な傾向、太平洋に要因か

 県指定天然記念物「アカウミガメ」の昨年度調査で、県が委託調査を行う延岡市と日向市の海岸への上陸・産卵回数が、過去最低レベルだったことが25日、分かった。県が主催する連絡協議会で、県文化財課などが報告した。専門家は、より詳細な調査、分析を行うよう提言している。

 連絡協議会はアカウミガメの保護に必要な最新情報を共有する目的で昨年度に続いて開催。土木担当者や沿岸市町の文化財担当者、県の委託を受ける調査団体の代表者らが参加した。

 県が団体に調査を委託する延岡市、日向市、宮崎市、日南市、新富町、高鍋町の調査団体の担当者らが調査結果を報告した。

 県全体の上陸回数は前年度に比べ506回減の791回、産卵回数は426回減とほぼ半減の449回だった。

 特に県北の延岡市は方財町、長浜町、新浜町の3海岸の上陸は12回、産卵は5回で、調査が始まった1988年度以降で最低となった。

 日向市もお倉ケ浜の南・北海岸のみでの確認で、上陸が9回、産卵が8回と現在の調査方法になった2000年以降、最も低い数字となった。

 県内で最も産卵回数が多かったのは新富町富田浜(南)海岸の86回で、前年の21年の142回から大きく減少、県全体でも減少傾向が続いている。

 日向市の状況を報告した同市アカウミガメ研究会会員の篠原吉雄さんは「(減少は全国的な傾向で)地域的な要因も考えられるが、太平洋全体に要因があるのでは」と説明。「会員8人全員が70代以上で活発な活動が難しい状況。高校生など若い人に関心を持ってもらえるよう期待したい」と語った。

◆13年ごろをピークに下降−増加には砂浜の保護が前提

 「アカウミガメの上陸回数の減少は20〜22年周期のリズムという仮説がある」と説くのは、宮崎大学名誉教授(理学博士)で宮崎野生動物研究所理事長の岩本俊孝さん。特に県北の海岸は、宮崎市に比べて「自然に近いいい状態が維持されている」とみている。

 県のデータでは、13年ごろは上陸5000回、産卵3000回を上回るピークだった。15年には上陸が2000回以下となり、以降は下降傾向。1997年は上陸が1000回以下となっており、昨年度とほぼ同数の時期があった。岩本さんはこれが〃リズム〃ではないかとみている。

 ただし、再び増加するためには、産卵地である砂浜の保護が前提となる。また、キツネやタヌキなど野生動物の食害対策も重要だ。

 岩本さんは協議会で、産卵巣位置とふ化率の関係を専門家の立場から説明。産卵巣位置をGPSで測定し、ふ化率などを詳細に調査することで、分析、対策を進めることが重要と、語った。

 そのために、多くの人の調査研究団体への加入や協力を求めている。

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