円安、原油高騰−給食費直撃

値上げやむなし−延岡市内の小中学校

◆農産物収量減、今後はウクライナ侵攻の影響も

　物価高騰の影響で、延岡市内の小中学校の多くが４月から学校給食費を値上げしたことが分かった。今後はロシアによるウクライナ侵攻の影響が加わるとみられ、給食費を据え置いた学校からも「値上げは避けられない」との声が聞かれる。

　給食費を巡っては、為替相場の円安変動や原油高騰に伴う輸送費の増加で、輸入物資の価格が上昇。天候不順による農産物の収量減も重なって、大半の食材が値上がりしている。

　本紙の調べによると、給食費を値上げしたのは市内の公立小中学校４２校（義務教育学校を含む）のうち、過半数の２４校。値上げしなかった１７校のうち、少なくとも５校は値上げする方向で検討している。

　延岡市の給食費は行政が一律に設定するのではなく、調理場ごとに学校と保護者代表による運営委員会の協議で決定。市内では一定地域で複数の小中学校が、給食センターや小学校の調理場を共同利用している。

　このうち、給食センターに調理を委託しているある地域は、例年６月に運営委員会を開いているが、今年は２月に臨時招集。３年前の改定に続き、小学校の給食費を１食２４０円から２６０円、中学校で２８０円を３００円に、それぞれ２０円アップした。

　１月までの前年度実績に物価高騰の影響を加味し、「向こう３年分をまかなえる単価で推計した」と担当者。食材を一括購入する県学校給食会から、牛乳が２００ミリリットル当たり５８銭、小麦粉が１キロ当たり１２３〜１４０円値上がりし、それらを原料とする加工品や、調味料、乾物、冷凍食材（食肉・魚介類・野菜）、液体調味料、食油、うずら卵などの価格も軒並み上昇していることが通知されたためだという。

　また、校内で共同調理する小学校２校は、５月のＰＴＡ総会を待たずに４月から１食１０円値上げして２５０円とすることを、プリントで保護者に通知。「運営費の捻出などではなく、子どもたちの栄養価を維持するため」と理解を求めており、市内いずれの学校とも保護者側から反対意見や苦情は寄せられていないという。

　一方、給食費を据え置いた学校のうち５校は保護者向けの文書で、当面は現行を維持するとしつつも、改定の方針を説明。小学校教頭の一人は、物価高騰にウクライナ情勢の影響が追い打ちとなるとして、「給食費の値上げは避けられないし、理解していただいていると思う」と話した。