森林情報デジタル化へ

本紙掲載日：2022-05-07

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諸塚村森林・林業ＤＸ推進協議会の成果発表（同村役場）

調査の省力化、山の価値を見える化－

◆一年間の成果を発表－諸塚村、県森連ＮＴＴの推進協

　昨年４月から森林情報をデジタル化し活用する実証事業に共同で取り組んでいる県森林組合連合会（長友幹雄会長）、諸塚村（西川健村長）、ＮＴＴ西日本宮崎支店（桒畑秀哉支店長）はこのほど、同村役場で１年間の成果を発表した。持続可能な林業と地域活性化に向け、２０２３年度以降の実用化を目指すという。

　３者は耳川広域森林組合、県木材協同組合連合会、宮崎大学にも参画してもらい、昨年４月に「諸塚村森林・林業ＤＸ（デジタルトランスフォーメーション）推進協議会」を設立。同村での実証事業を開始した。

　発表によると、ドローンと人工衛星を活用して村内の一部エリアを計測。取得したデジタルデータから樹種、材積量、面積などの森林情報を算出した結果、従来の現地調査と比べ、約４０分の１という飛躍的な省力化を確認した。

　また、算出した森林情報をＡＩ（人工知能）で解析し、その森林の利用価値、資産価値、二酸化炭素吸収量などとして「見える化」したことで、森林の所有者からは「山の価値を認識できた」「再造林の意欲が高まった」「後継者への引き継ぎにも役立つ」などの声が寄せられた。

　さらに、それらデジタル化した森林情報を所有者だけでなく森林組合、自治体、製材所などとも共有するクラウドサービス環境を構築することで、各プレーヤー同士の依頼や取引に関するコミュニケーションを可能にした。

　発表には関係者約２０人が同席。耳川広域森林組合の平野浩二組合長は「所有する山の価値を知ることで後継者に関心を高めてもらいたい。大きな期待を寄せている」、宮崎大学農学部の藤掛一郎教授は「所有者の経営意欲につなげることが一番の狙い。ＤＸで林業経営の全てを解決することはできないかもしれないが、一つのツールとして可能性を感じた」と、それぞれ意見を述べた。

　また、長友会長は「それぞれの立場や利益を超え、協議会として意義のある素晴らしいシステムができつつある」とした上で「このシステムをビジネスとして展開していくか、インフラの一部として整備していくかが今後の課題」と述べた。

　今後は２２年度以降、同村全体の森林情報のデジタルデータを収集。２３年度以降の実用化を目指すという。