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書画54件、谷家が寄託

本紙掲載日:2022-05-19
1面
状態を点検する市職員
慎重かつ丁寧に梱包(こんぽう)する日本通運の担当者

9月開館予定−延岡城・内藤記念博物館へ

◆福岡市美術館・中山総館長が監修し選ぶ

 江戸から明治にかけて回船業などで財を成した延岡の豪商・谷家所蔵の書画54件が、今年9月開館予定の延岡城・内藤記念博物館に寄託される。これに向けた準備作業が18日、延岡市内にある谷家の倉庫であり、市職員らが貴重な資料を点検、梱包(こんぽう)した。

 谷家は、洋画を含めた約240点の書画を所蔵している。寄託は、5代目当主の谷仲吉さん(78)が「立派な施設ができた。蔵の片隅に置いておくより、市民の皆さんに見てもらった方がいい」と市に提案して実現した。

 寄託品の選定は昨年11月、谷家の歴史資料を保管する市内の倉庫で行われた。日本近世絵画に詳しい福岡市美術館の中山喜一朗総館長が監修し、郷土ゆかりの作品や美術品としても価値のある54件を選んだ。

 この中には、歌人若山牧水が晩年の1927(昭和2)年、同市で開かれた揮毫(きごう)大会で書いたとされる直筆の掛け軸などがあり、内藤記念博物館の増田豪係長は「価値の高い資料ばかり」と話す。

 この日の準備作業では、増田係長らが写真を撮ったり傷やへこみをチェックしたりして、状態を点検。日本通運の職員は畳んだ際に顔料が付かないよう、びょうぶの間に紙を挟むなど慎重かつ丁寧に、一つずつ梱包した。

 増田係長は「特別展に限らず、平常展でも随時、数点ずつ展示していきたい」と話した。谷さんは「延岡の商業的な繁栄や商人文化が伝わるはず。多くの人に見てもらい、歴史の証人になってほしい」と願っていた。

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